ここ何年かで企業における女性活躍推進への取り組みは大きく進み、一部の女性のみならず、子育て中でも時短勤務中でも広くリーダーの役割を任される時代になってきました。皆さん、心の準備はできていますかー? 今回の特集では、管理職予備軍4人と、現在管理職として活躍中のDUAL世代3人、そして先駆者的存在として道を切り開いてきた女性エグゼクティブという、様々な世代の方にお話を伺いました。そこで見えてきたリーダーに必要なスキル&お作法、それらに磨きをかけるテクニックをたっぷりとお伝えします!

 第2回は、組織で存在感のある管理職2年目、4年目、11年目の3人にお話を伺いました。試行錯誤を繰り返す中でそれぞれが見つけ出した工夫や、現場で求められているスキルについて、惜しみなく教えてもらいました。皆さんの仕事にぜひお役立てください。

【女性エグゼクティブ予備軍のためのスキル&お作法集】
(1) 管理職候補生 何が大変?どんなスキル身に付けたい?
(2) 会議で黙ってみたら、みんなが生き生きとし始めた ←今回はココ
(3) 管理職の言葉選び ロジカルに率直に、でも柔らかく
(4) 髙島屋・元代表取締役 人脈作りの大切さ実感したとき
(5) 声質改善・話し方講座 苦手な人も乗り越えられる!
(6) 服装のミスマッチは、職場で信頼を失うことも?!

<参加者プロフィール>

森美和子さん 【管理職歴11年目】
東京海上日動火災保険 執行役員 本店損害サービス第二部長
1984年に一般職採用で入社。20年間一般職として勤務ののち、2004年に試験を受け全国型社員(総合職)へ転換。2008年に課長になり、同社の女性キャリア推進の先駆け的存在に。2018年から現職。

上村嗣美さん 【管理職歴4年目】
サイバーエージェント 広報室室長 シニアマネージャー
2000年に新卒採用第1号として入社。社長秘書や広報職を経て、30歳で一度目の管理職を経験。その後プロフェッショナル職に異動し、2016年の育休復帰と同時に現職に、グループ会社含め全社の広報責任者となる。7名のチームメンバーは全員女性で、そのうち半分がママ。自身も4歳の女の子の育児中で、9~17時の時短勤務を取っている。

萩原美緒さん 【管理職歴2年目】
IT系企業 事業部長
2008年に入社し、人事部、広報部や海外事業部を経て、2017年より現職。8歳と2歳の姉妹のママ。新規事業の立ち上げを担当し、チームリーダーとして15人ほどの部下を率いる。現在はリモートワークを中心に、東京・関西・札幌を行き来する生活を送る。

自分らしい管理職像を確立する

 管理職2年目、4年目、11年目の3人へのインタビューを通して、リーダーに大切な「7つのスキル」が見えてきました。おのおのが試行錯誤を繰り返しながら身に付けてきたスキルのうち、まずは3つをお伝えします。

【1】自己分析力

 3人に共通する第一のスキルは、自己分析力です。管理職に求められる能力と自分の実力とのギャップを意識しながら、自分の強みや個性を生かしていく。ここが管理職としてのスタートラインのようです。

 管理職を打診されたら、誰しも一度は「自分にはその能力と資質があるのかな?」と不安に感じるのではないでしょうか。女性が管理職になることがまだまれだった10年前、東京海上日動火災保険の森美和子さんは課長に任命され、「まさか自分が、という気持ちでした」。今の落ち着いた語り口からは想像もつきませんが、不安があったといいます。

 「当時、全管理職数は約3000人ほどだった中、女性は約60人。自分の周りに女性管理職はいないですし、もっと優秀な人がなるものだと思っていました。それは性差というよりも、役職に求められる資質や能力に達することができるのかという不安のためでした。そこで、まずやるべきは、自分が目指す管理職像と今の自分とのギャップを正しく把握することだと考えました。ギャップが悪いというわけではありません。それは伸び代があるということなので、それを埋めるために努力しようと思ったんです」(森さん)

 周りには男性管理職が多く、女性のロールモデルがいない中、どのように理想像を設定し、ギャップを埋めてきたのでしょうか?

 「私はどちらかというと、人の気持ちに配慮するような表現を使ったり、オブラートに包むようなコミュニケーションを取ったりするタイプだったのですが、男性はもっとストレート。そして、とりあえず主張をする。形から入るわけではないですが、最初のうちはそういった口調や言い方を意識していました。ただ、それだけが正解ではないと自己分析をし、自分らしさを取り戻しました」(森さん)

東京海上日動火災保険の森美和子さん
東京海上日動火災保険の森美和子さん
<次のページからの内容>
● 自分らしい管理職像を確立するために、自己分析を重ねた
● リーダーは世界観を伝えるオーケストラの指揮者
● 1+1=2だよねと答えを教えるのではない
● 部下が声をかけやすいよう、余裕がないようには見せない
● 耳に入ったことは覚えておき、顔を合わせたとき一声かける