あえて机と机の間を通って声かけをする

アフラック デリバリーコーディネーション部の湯本深雪さん
アフラック デリバリーコーディネーション部の湯本深雪さん

湯本深雪さん(以下、湯本) 私は産休中でしたので第1回に参加できず、来月から課長代理職の女性に向けた社内のキャリアアップ研修に参加する予定です。ただ、子育て経験が仕事に生きてくることは私も感じています。今まで部下に対して「何でできないんだろう」と思ったことがあっても、ひょっとしたら私の伝え方が悪いのかもしれないとか、今できなくてもいつかできるはずだから待とうとか、課題に向かって解決策を根気強く考えられるようになったと思います。

−− 皆さん、研修や日々の業務を通して、リーダーに求められるのは実務能力だけでなく、人をマネジメントする力が必要になることを実感しているのですね。それ以外にも管理職に必要なスキルは何だと思いますか?

篠原 判断力ですね。うちの会社では「経営判断は六分四分の理」とよく言われます。六分の理があれば、決定の権限を持つ人が思い切って判断をする、という意味です。ただ、今の自分は現場で迷ったとき、六分四分では決断に至れないと思うんです。決断するときっていろんな人の意見を聞いたり、自分の思いだけでは走れなかったり、そうこうしている間にタイミングを逃したりしてしまって、すごく難しいなと。判断力を磨くための幅広い人脈と知識が、自分にはまだまだ足りないと思いました。

サントリーウエルネス CRM推進部の矢島珠巳さん
サントリーウエルネス CRM推進部の矢島珠巳さん

矢島 スピード感って本当に大事ですよね。でも、実際にやってみないとスキルは上がりません。上司には「どんどん任せるから、判断していって」と言われています。課題発見力も重要だと感じます。上司を見ていると、どこに課題があるのか、本質的な課題は何かを的確に探し出し、解決だけはなく新しい仕事を作り出していくことに長けていて、自分にはまだ不足しているスキルだなと感じます。

湯本 あとは、粘り強さ。特に、部下をどうにかして育てようとしてくれる姿勢の上司には頭が下がります。正解は簡単に出さず、部下に考えさせるのです。ものすごい手間でしょうが、メンバーは確実に成長していきます。

黒木 自分の上司の背中から学ぶことは多いですよね。私の上司は数字に強くて細かく、それが私には足りないスキルかなと。数字を直感的に把握できたら、もっとスピード感も変わってくるんだろうと思います。

−− そういったノウハウを、上司が直接教えてくれる機会はあるのですか?

矢島 横で見ながら自然と学ぶ感じですかね。

篠原 私も色々なタイプの管理職に会う中で、それぞれのいいところを盗んで自分のものにしていこうと思っています。

−− 管理職になると、社内ネットワークも重要になってきますよね。例えば、上から目をかけてもらうと何かと有利だったり、情報が足りないことで自分のチームが損したりということもあるかなと。人脈作りは意識していますか?

篠原 私は社内ネットワークを広げる努力をしています。オフィスは100mくらいの横長のオープンな造りで見通しがいいので、自分の席から打ち合わせスペースや資料棚に移動するとき、あえて廊下ではなく、机と机の間を通るようにするんです。そこで「よっ、元気?」と一声かけて雑談したり、今日は誰がいるかなと把握したりしていますね。行きと帰りのルートを変えると、よりたくさんの人と話ができます。あとは、みんなが通りたがらない、偉い人たちがいる窓側をわざと通ったり。だから一旦席を立つと、なかなか戻ってこられなかったりするんですけど(笑)。

 以前、当時の上司が「張り詰めた顔でパソコンを眺めている若い子に一声かけるだけで、部の雰囲気って変わるんだよ」と話していたのが印象的で。私のような営業職は、技術部をはじめ他部署のパワーをもらわないと一人で解決できないこともたくさんあります。だから、いろんな人とのパイプを持っておこうと意識しています。