ここ何年かで企業における女性活躍推進への取り組みは大きく進み、一部の女性のみならず、子育て中でも時短勤務中でも広くリーダーの役割を任される時代になってきました。皆さん、心の準備はできていますかー? 今回の特集では、管理職予備軍4人と、現在管理職で活躍中のDUAL世代3人、そして先駆者的存在として道を切り開いてきた女性エグゼクティブという、様々な世代の方にお話を伺いました。そこで見えてきたリーダーに必要なスキル&お作法、それらに磨きをかけるテクニックをたっぷりとお伝えします!

 特集の1回目は、管理職育成コースの受講生たちの座談会を実施。「管理職ってやっぱり大変そう?」「必要な能力やスキルは?」「どんな管理職を目指しているか?」といった心構えやキャリア像について語ってもらいました。

【女性エグゼクティブ予備軍のためのスキル&お作法集】
(1) 管理職候補生 何が大変?どんなスキル身に付けたい? ←今回はココ
(2) 会議で黙ってみたら、みんなが生き生きとし始めた
(3) 管理職の言葉選び ロジカルに率直に、でも柔らかく
(4) 髙島屋・元代表取締役 人脈作りの大切さ実感したとき
(5) 声質改善・話し方講座 苦手な人も乗り越えられる!
(6) 服装のミスマッチは、職場で信頼を失うことも?!

<参加者プロフィール>

矢島珠巳さん
サントリーウエルネス CRM推進部
入社17年目。会社員の夫と小3の娘の3人家族。育休復帰後は人事部に復職し、2年半前に現部署に異動。9~16時のフレックス勤務で、夜や早朝にテレワークや自宅作業で対応することも。育児家事分担は妻7:夫3。近隣に夫の実家があり、夫の協力を得られないときには全面的にサポートしてもらっている。

篠原葵さん
ダイキン工業 空調営業本部 設備営業部
入社13年目。会社員の夫と3歳の息子の3人家族。大手デベロッパーや設計事務所を担当する。9~17時半のフレックス勤務だが、営業という職種柄、不規則な勤務になることも多い。育児家事分担は妻6:夫4。両家の実家が近くにあるため、家族総出で育児体制を整え、出張や接待を積極的にこなしている。

黒木史子さん
積水ハウス 東京北支店王子店店長
入社15年目。会社員の夫と小4息子、小1娘の4人家族。2人目の育休から復帰して1年足らずで現職に就き、現在6年目。店長としてチームを抱えるため、休日出勤をすることも。同じグループ会社に勤める夫とは妻2:夫8の分担で乗り切っている。

湯本深雪さん
アフラック デリバリーコーディネーション部
システム開発管理課 課長代理
転職組で入社12年目。夫と2歳半の息子と4カ月の娘の4人家族。第一子、第二子ともに産後2カ月で復帰し、第二子は社内保育所に預けている。現職は1年目。9~17時のフルタイム勤務だが、早めの出社などフレックス勤務制度も利用している。育児家事は妻5:夫5というバランスで分担中。

組織を回す経営学はイコール、人間学

日経DUAL編集部(以下、−−) 本日は、管理職候補生としてキャリア研修に参加中、もしくは参加した経験があるというデュアラーの皆さんにお集まりいただいています。女性管理職やエグゼクティブというと、ごく一部のスーパーウーマンに限られた特別なものという印象がありましたが、これからはリーダー職に推される人がもっと増えていくと思われます。まず皆さんは、研修を通してリーダーにはどのような心構えやスキルが必要だと考えるようになりましたか?

積水ハウス東京北支店王子店店長の黒木史子さん
積水ハウス東京北支店王子店店長の黒木史子さん

黒木史子さん(以下、黒木) 私は社内の「積水ハウス ウィメンズ カレッジ」という女性管理職候補者育成コースに参加しました。最初の1年は経営について学び、次の1年は実地研修という2年スパンのコースです。最後には社長へのプレゼンの場もあって、営業職である私以外に設計や管理といった違う部署の人たちとチームを組み、どう問題解決していくかを学んだんです。通常業務をやりながらなのでしんどかったですが、違う視点を持つ人たちと何かをやる中でリーダーとしての視野が広がったと思います

篠原葵さん(以下、篠原) 私は社内の「女性リーダー育成研修」を経験し、現在「経営幹部塾」という幹部育成研修に参加しています。研修を通して全国や海外拠点の経営経験者と会う機会もあり、組織を回す経営学はイコール人間学だということや、他者への理解がいかに大切かを学んでいます。どうやって自分以外の人に仕事を任せてみるのか、チーム一人一人の力をどう伸ばせばいいのか、これまでは考えてもみなかったテーマについて考え始めました。

矢島珠巳さん(以下、矢島) 私も、人材育成は大きなテーマだと思いました。以前、課長に必要な知識などを総合的に学べるセミナー「課長塾」(日経BP主催、全6回)に参加したことがあります。部下を成功者にしつつ、いかに組織としての成果を出していくか、性格も成熟度も違う各メンバーの育成を見極めるというのは、人対人であるだけに難しいと感じました。メンバーの成長のために言うべきことは伝えつつ、モチベーションを維持・アップさせ続けるのって難しいのだろうなぁと思います。

黒木 叱る難しさは私も日々実感しています。私自身、厳しい指導に対し「やってやるぞ!」と這い上がってきた経験があるので、そのやり方しか知らなくて…。5年前に店長になり部下を持ったとき、最初は同じようにして失敗してしまいました。常に悩んで試行錯誤の連続ですが、これは「北風と太陽」方式なのかもと気づいたんです。

 子育てにも通じると思うのですが、一生懸命風を吹かせて動かないものを、いかに気持ち良く乗せて課題に向かわせるか。気分が乗ればハッピーというのは子どもも大人も一緒だろうと。相手を見てどうしたら喜ぶかを観察し、言われたくないことには絶対に触れないなど、最低限の気遣いをしながらも、やるべきことはきちんと伝えてやってもらう。そのさじ加減がだいぶ分かるようになってきました。もちろん相手が自分のことをリスペクトしてくれないと成り立たないので、そこは自分自身の人間力も上げていかないとなと思います。