(日経DUAL特選シリーズ/2018年11月収録記事を再掲載します。)

 日経DUALでは「待ったなしの少子化問題」と、内閣府も推進する「ワーク・ライフ・バランスを保ちながら生産性高く働くための働き方改革」という2つの視点で優秀な企業を応援する取り組みとして、2回目となる「共働き子育てしやすい企業グランプリ 2017」調査を実施しました。詳細はこちらの特集をご参照ください(「2017年 共働き子育てしやすい企業ランキング特集」)。第3回も、厚生労働省が公開する「女性の活躍推進企業データベース」サイトに掲載されている情報を基に日経DUALが選定する企業への調査協力依頼に加え、「わが社こそは」と手を挙げて調査にご回答くださる企業を一般公募します。(注:受け付けは終了しました)

 この特集では、一般公募のスタートに合わせて、「共働き子育てしやすい企業」にまつわる最近の動きについて、今回もアドバイザーを務めていただく3人の識者にお話いただきます。第1回となる今回は、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事で、東レ経営研究所・上席シニアコンサルタントの塚越学さんに「男性の変化」「夫婦の家事分担」「男性育休」などについて話を伺いました。

【日経DUAL「共働き子育てしやすい企業ランキング」絶賛公募中!】
(1) 「僕は変わった、職場は変わらない」男性は葛藤中 ←今回はココ
(2) 言葉を知らなくても経営者が必死なら正解に着地する
(3) 「豊かな生活」という本来の目的を忘れていないか
(4) 男性も「マミートラック」を受け止める覚悟を

男性側の感度が上がってきた

塚越学さん<br>東レ経営研究所・上席シニアコンサルタント、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事
塚越学さん
東レ経営研究所・上席シニアコンサルタント、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事

日経DUAL編集部(以下、――) 2017年に開催した第2回は、SCSKがグランプリを受賞し、丸井グループとピジョンが特別奨励賞となりました。3回目も引き続き、「共働き子育てしやすい企業ランキング」のアドバイザーを務めていただきますが、企業やそこで働く人に変化を感じることはありますか。

塚越さん(以下、敬称略) 全国的に量で見ると大きく変わっていないけれども、質が変わってきた、という言い方はできるかもしれません。一言でいうと、男性側の感度が上がってきた。

 例えば、私は都内の自治体が実施している両親学級の講師を5年以上しており、毎年1000人弱のプレパパ、プレママと接する機会があるのですが、5年前と比べて、「妻に言われたから来ました」という男性が明らかに減っています。男性参加者の中には、「僕も育休を取ろうと思っているんですよ」など、具体的なアクションを口にする人も増えた印象があります。

 ちなみに、10年前、私の長男が生まれたとき、妊婦健診に付き添っている男性はほぼいませんでした。2014年に三男が生まれたときは、平日・休日問わず、いい確率でパパの付き添いに出会いました。子育て世代の男性の意識はこの10年ほど変わってきているのではないでしょうか。

―― 子育て世代の男性の意識は変わった。そして職場は……。

塚越 家庭において、男性の意識が大きく変わってきているのに対して、職場はそれほど変化していません。なので、男性は葛藤しています。さらに言えば、様々なところで衝突が多くなっています。

―― 今の男性の葛藤とはどのようなものなのでしょうか。

塚越 家庭内で自分も「家事・育児をすべき」だと思っている。でも、職場の雰囲気や制度はそこまで変わっていないので、家庭と仕事を両立することの難しさに直面している。今でも女性が悩んでいたことと同じですよ。仕事と家事・育児の両立が難しい、と。そこで男性は、家庭内で特に平日、家事・育児の行動に移しきれないでいる。一方、女性はフルタイム勤務に戻り切れず、管理職まで目指せないでいる。

―― 企業に何か変化は見られますか。