2013年11月に創刊して以来、日経DUALは働くママ&パパに寄り添って情報を発信してきました。そして、晴れて創刊5周年を迎えます。「私たちが歩んできた道」はどのような道だったのでしょう。そして、「これから先、歩んでいく道」はどのような道なのでしょうか。5周年記念特集の第1回では、共働き子育て真っ最中であり、この5年の変化を体験してきたママ・パパと日経DUAL編集長の片野 温が、これまでの5年間とこれからの共働きについて話し合いました。ママ代表は、予防医療コンサルタントとして女性や赤ちゃんの健康を見守り続けている細川モモさん。パパ代表は複業研究家として活躍し、自らも「週休3日」を実践、仕事も家族も大切にしている西村創一朗さんです。

【5周年記念号/私たちが歩んできた道、歩む道】
(1) ロールモデルなき新時代に突入するデュアラーたち ←今回はココ
(2) 共働き世代が居場所と生き方を暗中模索した5年間
(3) 5年で働きやすさは増し、実力がものをいう社会に
(4) 日比谷高校から海外大学選ぶ子も 目標は合格の先
(5) 共働きですから、そろそろ皆さん、男女平等で

「俺子育てしてるぜ、ドヤ!」がこの5年でダサくなってきた

細川モモさんは2歳の女の子のママ。西村創一朗さんは11歳と5歳の男の子、2歳の女の子のパパ
細川モモさんは2歳の女の子のママ。西村創一朗さんは11歳と5歳の男の子、2歳の女の子のパパ

片野(以降、――) 平日の朝や夕方にパパが赤ちゃんを抱っこひもに入れて歩いたり、自転車の後ろに乗せて走ったりする姿は、今ではすっかり普通になりましたね。日経DUALが創刊した5年前はまだ、週末イベント的だったと思います。

細川モモさん(以降、モモ) 社会のインフラもパパが育児をするのが当たり前に変わってきています。私がよく行くショッピングモールやデパートのおむつ替えフロアは、娘が生まれた2年前は男子禁制だったのに、今は改装されてパパも入れるようになったんですよ。社会環境の変化はめざましいですね。

―― 西村さんは30歳にしてパパ歴11年です。パパになったばかりの10年前と今とではパパを取り巻く社会はどう変わったと感じていますか?

西村創一朗さん 複業研究家。HRマーケター。HARES代表取締役。NPO法人ファザーリングジャパン最年少理事。首都大学東京在学に長男が誕生し、学生パパとなる。リクルートキャリア在職中に株式会社HARESを創業しパラレルキャリアの実践者として活動を続けた後、長女の誕生を機に独立。「週休3日」の複業研究家として、働き方改革の専門家として個人・企業・政府向けにコンサルティングを行う。2017年9月より「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(経済産業省)の委員を務める。新世代パパコミュニティPtoCの創立メンバーの一人でもある
西村創一朗さん 複業研究家。HRマーケター。HARES代表取締役。NPO法人ファザーリングジャパン最年少理事。首都大学東京在学に長男が誕生し、学生パパとなる。リクルートキャリア在職中に株式会社HARESを創業しパラレルキャリアの実践者として活動を続けた後、長女の誕生を機に独立。「週休3日」の複業研究家として、働き方改革の専門家として個人・企業・政府向けにコンサルティングを行う。2017年9月より「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」(経済産業省)の委員を務める。新世代パパコミュニティPtoCの創立メンバーの一人でもある

西村創一朗さん(以降、西村) 大きく変わりましたね。男性の育休取得率を見ても10倍くらいの差があります。その10年のちょうど折り返し地点が、日経DUALが創刊された5年前だったなと思います。僕は社会人3年目でした。

 5年前と今を比べると子どもを抱っこしているパパを見る目が変わったと思います。当時は子育てをするパパに対する見る目がまだ特別なものでした。週末ならなんとも思われないけれど、平日の真昼間に子どもと公園にいようものなら、「あのパパ、お仕事は?」なんいう目にさらされて、苦しい思いをしていた育休パパもいました。

 でも、この5年で政府の後押しと企業の施策があり、男性が育休を取ることが市民権を得るようになりました。平日に子どもと公園にいるパパもいるよねという温度感に変わってきています。現役同世代から見ると、パパが子育てをすることに対して、何の違和感も抱かなくなりましたし、親なのだから、家事育児もして当然と見方が変わってきたと思います

 一方で、育休取得に興味がある新入社員が約8割に達しているのに対して、実際に取っている人が5%程度しかいない。このギャップが何によって生まれているかというと、管理職世代と子育て中世代との間にはまだまだ大きなギャップがあるのだと思います。

―― そこには厚い壁があるんですね。

西村 実はパパたちは今、5年前、10年前にはなかった苦労をしています。今、男性も家事をして当たり前というムーブメントが盛り上がってきて、パパが育休を取りたい、子育てをしたいと思っても、職場の上司の理解が得られなかったり、風土とのギャップに苦しんでいます。パパの意識が変わったからこその苦しみなのかなと思います。

 それから、5年前は「俺子育てしてるぜ、ドヤ!」って感じのパパもいましたが、今はそういうことがダサくなっていると思います。「当たり前なのにそれをさも特別なことのように言っているの、ダサい」って女性は前々から思っていたと思いますが、今は男性自身もそう感じている。パパが子育てするのは当たり前、取り立てて語らないけど、目に見えないところでしてるんだっていうふうに変わってきたのがこの5年間だと思います。

1カ月の育休中にこれからのことを話し合った

細川モモさん 予防医療コンサルタント/一般社団法人ラブテリ代表理事。2009年から企業・官公庁等ともコラボレートした女性の健康や美を啓発する活動を続け、特に、先進国の中でも日本が深刻な状況に陥っている低出生体重児と不妊症の予防に力を入れる。2016年9月に女児を出産。『成功する子どもは食事が9割』(主婦の友社)ほか著書多数。
細川モモさん 予防医療コンサルタント/一般社団法人ラブテリ代表理事。2009年から企業・官公庁等ともコラボレートした女性の健康や美を啓発する活動を続け、特に、先進国の中でも日本が深刻な状況に陥っている低出生体重児と不妊症の予防に力を入れる。2016年9月に女児を出産。『成功する子どもは食事が9割』(主婦の友社)ほか著書多数。

―― モモさんのお宅でも産後、パパが育休を取られたのですよね。

モモ 夫の職場では前例がほとんどなかったようですが、上司に相談したところ、理解してもらえて、1カ月取ることができました。

西村 職場のファーストペンギンだったんですね。

モモ はい。その後、後輩が次々に「そういうものがあったのか。どうやって取ったの?」と相談に来ているみたいです。後輩が悩んでいると「奥さんがいくら大変大変と口で言っていても、実際にやらなきゃ分からない。夫婦関係のために取ったほうがいい」とアドバイスしています。

 3日間とか短期ではなく、1カ月取れたのもよかったです。子どものことをいつもママが決断するというスタイルにはしたくなかったので、保活問題とか色々なことを寝不足の中、二人で半分寝ながら話し合いました

<次のページからの内容>
● 昭和タイプの父親は反面教師。自分は家事も育児もする父親になりたかった
● モモさん夫をパタニティブルーにした、先輩女性たちの先制口撃
● 子どもが巣立ったとき、ATM夫にならないためには?
● 新しい母親像を受け入れられるママとそうでないママに分かれていく?
● このやり方で子どもは幸せになれる? 妻も夫も不安を抱えている
● パパが危ない! 相談の場を確保しよう
● 働くことが当たり前になるように、好きだから仕事をしていると伝えている