かるたやなぞなぞ、間違いさがしも地頭を鍛える
かるた
今は色々なものがかるたになっています。「楽あれば」と読み「苦あり」を取らせることわざ・慣用句のかるたや、名産物や観光名所を読んで、都道府県を取らせる都道府県かるた、そのほか俳句や星座などもあります。かるただと言葉のリズムがよく、「勝ちたい」「取りたい」という気持ちも働くので、物事を覚えるようになります。
国語辞典
国語辞典も、地図帳と同様、調べた言葉にマーカーを引くようにしましょう。テレビや本、新聞、会話の中で知らない言葉が出てきたら、辞書を引く習慣が付くといいですね。
辞書を選ぶとき、小1なのに、高学年用のものを買ったりしていませんか。「語彙が多いし、長く使えるし…」と考える気持ちも分かりますが、難しいものを与えてしまうと、興味が持てずに嫌いになってしまうこともあります。辞書は2年に一度は買い替える、くらいの気持ちで、その年齢に合ったものを与えるといいですね。
間違いさがし、なぞなぞ、迷路、パズル
間違いさがし、なぞなぞ、迷路、パズルなどの遊びも、地頭を鍛えるのに効果的です。
人間の脳のワーキングメモリを育てるのに、間違いさがしがいいと言われています。例えば算数は、学年を経るごとに複雑な計算が出てきますが、何ステップかに分解して計算をしていると、今、自分が何のためにこの計算をして、答えまでのどの段階にいるのかが、途中で分からなくなってしまう子が存在します。それは少し前のことを記憶しておけないからです。
まちがい探しは、左の絵と右の絵を比べて、違うところを探すという遊びですが、左の絵を見て、特徴を覚えますよね。そしてその記憶をもとに右の絵を見て、違うところを探します。これは、ワーキングメモリを鍛えることにつながります。
なぞなぞは言葉を連想する力、情報処理能力、ユーモアのセンスを鍛えることができます。「西から船が500艘、東からも船が500艘、さあ何が起こる?」―― 答えは「せんそう」です。なぞなぞの答えを考えるとき、その語彙から様々なことを空想、連想し、別の言葉やつながりのあるテーマに結びつけますよね。
この他にも、日頃から図形パズル、数のパズル、迷路などで遊んでいる子は、例外なく算数が好きで得意なことが多いです。
読書
色々なところで言われていますが、やはり読み聞かせ・読書は脳にいいでしょう。なかなか読書をしない…という子には、ぜひ好きなジャンルの本から始めてみてください。サッカーが好きな子はサッカー選手の本、というように。また、毎朝5分、毎晩10分、など、「家族読書タイム」をつくりましょう。ママはママの本、パパはパパの本、子どもは子どもの本、おばあちゃんはおばあちゃんの本、というように。
「うちの子は読書が好きなのに、なかなか勉強はできるようにならない」と感じている方もいるようですが、それは、読書で得てきた語彙や知識と学校で習う内容がまだリンクしていないからです。読書を続けていれば尻上がりに実力がついていき、やがてその成果が表れて後伸びします。焦ることはありません。
勉強も習い事もそうですが、楽しんで、夢中になってやっているときが、一番地頭をよくするのに効果的です。「嫌なことでも頑張っていれば根性がつく」というのは迷信です。嫌なことを無理やり続けても、性格がゆがむだけです。性格がゆがむと、自分自身への不信につながったり、他人を攻撃したりと、いいことはありません。
子どもが夢中になれることが分からない、というご家庭では、「一度始めたことは、すぐにやめてはならない」などと考えず、ぜひ色々なことを「お試し」でやらせてみてください。
地頭がいい、と一言でいっても、色々なタイプがいると思います。子どものときは情報処理能力が高く、テキパキと物事を進めたり、考えたり話したりできる子が「頭がいい」と思われがちですが、テキパキしていなくてもクリエーティブ能力が高い「地頭がいい人」もいますよね。その子のタイプに合わせ、いいところを伸ばしてあげるといいでしょう。
これからの時代は、子どもの「強み」を伸ばしてあげるほうがいいと思います。苦手なところを底上げし、「何でもそこそこ、普通にできます」という大人になっても、AI時代では「歯車」として働くことしかできなくなってしまいます。狙うは「一点突破、全面展開」で、得意分野、好きな分野をとことん伸ばしていくことが、子どもの将来につながると考えています。
(取材・文/日経DUAL編集部 砂山絵理子)