「知識の杭」をできるだけたくさん打つ

 地頭がよくなる3つの要因のうち、一つはやはり「生まれつき」で、それは否定できません。持って生まれた資質、というのは確かにあります。そして二つ目は「環境」。子どもの能力は親や家庭、学校、友達など多くの人との関わりで成長していきます。三つ目は子ども自身の「自由意志」。鋼の意志、不退転の決意、などと言われることもありますが、「俺は絶対にやるぞ!」というやる気スイッチのようなものです。この自由意志が強ければ、生まれつきの能力が普通でも、環境が悪くても、地頭を伸ばすことができます。

 この3つのうち、「生まれつき」と「自由意志」は、基本的に親にはどうすることもできません。親にできるのは、2つ目の「環境」をよくすることです。親が「子どもを伸ばすため によい環境を整えよう」と、意識しているのといないのとでは大きな違いが出てきます。

 地頭を伸ばすための環境づくりで、私が一番効果的だと思うのは、「本物体験」です。身近なこととしては昆虫を捕まえて飼育したり、植物や野菜を育てたり…ということですね。

 なぜ本物体験が大切か、ということについて、土星を例に考えてみましょう。

 例えば、ある子が天体望遠鏡で土星を見たとします。土星の環もはっきり見えて、その美しさに感動したとします。その1週間後、テレビで「土星探査」についてニュースが流れてきました。それまでだったら気にも留めなかったかもしれませんが、その子は「土星だって? 知ってる! リングがきれいだった!」と食い入るようにニュースを見ます。そして本を借りてきて、「岩石と氷でできている」などの知識も蓄えるようになります。

 しばらくして、学校で土星についての授業があります。学校の授業で何を習うかは唐突なので、休み時間にゲームの話をしていた子どもたちは、授業が始まって先生に「今日は土星についてです~」と言われても、なかなか興味を持つことができません。でもその子は、「土星なら知ってる! 見たこともある!」と前のめりになって授業を聞くことができます――。

 このように、一度、強烈な本物体験をすると、「知識の杭(くい)」ができます。例えば「土星」という杭ができると、生活の中で流れてくる土星に関する情報がひっかかり、知識がどんどん増えます。杭がないと全て流れていってしまいます。

 地頭がいい子は、この知識の杭がたくさんあるんですね。

 ただ本物体験をできるだけ増やそうとしても、時間もお金も限られている子育て世帯では、なかなか難しいのが実情ではないでしょうか。そんなとき、本物体験を補完できるのが、「楽勉グッズ」です。