子どもたちが大人になる頃には、様々な国籍の人と一緒に仕事をすることが当たり前になっていくでしょう。それを踏まえ、今のうちからグローバルに通用するマナーを身に付けさせたいと思っても、子どもが思春期に差し掛かり、態度が悪い場合、「この子はこの先、大丈夫か」と心配になるかもしれません。では、思春期の子どもに世界標準のマナーを身に付けさせるには、どうしたらいいのでしょうか。日本航空の客室乗務員として30年間、グローバルに活躍するビジネスパーソンの接遇に当たり、現在はキッズマナーの専門家として活躍する東(ひがし)節子さんに聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
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(4) 脱「分かったつもり」 知ったかぶり防ぐ親の声かけ

「思いやりを行動に移すこと」が世界標準のマナー

 子育てをしながら、日本航空の客室乗務員として30年間、世界の空を飛んでいた東節子さん。初めて会う自社の海外基地クルーや外国の航空会社のクルーと共に仕事をすることも度々あったそうです。その際、コミュニケーションの取り方に日本人同士とは違う点があることを感じていたと話します。

 「海外、特に欧米のクルーは、まず笑顔で自己紹介し、その後は大半がすぐファーストネームで呼び合います。私も初対面のクルーから『Setsuko,---------』のように呼びかけられていました。笑顔で『Thank you』を口に出す頻度も海外のクルーは多かったですね。」

 日本人同士だと名字で呼び合うことがほとんどです。無愛想ではなく、感謝の気持ちもありますが、笑顔を見せたり「ありがとう」にしたりすることはそれほど多くはありません。

 外国人クルーのコミュニケーションに東さんも初めは戸惑いましたが、常に相手の立場に立って、嫌な思いをさせないようにするという思いやりが、このようなコミュニケーションに表れているのだと理解したと言います。「マナーでは『相手のことを思いやり、それを行動に表すこと』が基本です。海外のクルーとのやり取りを通して、マナーの基本はグローバルでも変わらないと実感しました」

 ただ、グローバルな環境でのマナーには「+α」で必要なことがある、と東さんは言います。それが下記の3つの項目です。+αを身に付けるには、日ごろの子育てや夫婦のやり取りに少し変化が必要なのだそう。次ページから詳しく聞いていきましょう。

元CA東節子さんが考える世界標準のマナー

基本
・相手のことを思いやり、それを行動に表すこと

グローバルで必要な+α
・イエス・ノー、自分の意見をはっきり伝える
・自分も相手も尊重するアサーティブなコミュニケーション
・相手の文化を受け入れるダイバーシティーの考え方