受検者が増える一方の公立中高一貫校。そんななか、2021年度入学から順次高校からの募集を停止することを、都立中高一貫校5校が決定しました。独自色を強める適性検査など、公立中高一貫校(東京地区)の最新事情を受験情報に詳しい安田教育研究所代表の安田理さんに聞きました。前編では19年度の入試状況や高校募集を停止した背景について教えてもらいました。

【年齢別特集 高学年のママ・パパ向け】
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(2) 公立中高一貫の適性検査 どんな能力求められる?
(3) 子どもの自立心を育む 春休み安全な旅のヒント

 首都圏に22校ある公立中高一貫校。年々志望者が増え、倍率も上がっています。今や難関私立の合格を蹴って進学するケースもあります。19年度の都立中高一貫校10校の入試倍率(男女合計)は、白鴎高等学校附属中学校(台東区)が7.17と最も高く、次いで両国高等学校附属中学校(墨田区、6.77)三鷹中等教育学校(三鷹市、6.74)と続きます。都内10校の平均も5.88と高倍率です。また、区立では千代田区立九段中等学校の区分B(千代田区外居住者)が6.94と高くなっています。

 「17年度までは受検者が前年を上回る学校は3校ほどでしたが、19年度は両国、桜修館中等教育学校(目黒区)、南多摩中等教育学校(八王子市)、武蔵高等学校附属中学校、三鷹と前年に引き続いて5校が上回りました」(安田さん)

 安田さんによると、もともとは、地方で高校からの外部流出を食い止めるために始まったという公立中高一貫校ですが、全国規模で増え続けています。千葉、埼玉、神奈川の関東3県では従来の10校の受検者総数は増加し、さらに19年には11校目となるさいたま市立大宮国際中等教育学校(さいたま市)が開校しました。茨城県では20~22年度にかけて10校もの公立中高一貫校の設立が決まっています。

 受検者が増加するほど当然難易度が上がります。安田さんは「年々、倍率とともに難易度も上昇している」と言います。なぜ公立中高一貫校が選ばれるのでしょうか。

写真はイメージです
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