小学校の高学年ともなると、子どもによっては「反抗期」が訪れます。親に対して口答えをしたり、反抗的な態度を取ったりと親への関わり方が変化します。中でも、娘・息子ともにパパとの距離を取るようになり、さみしさを感じているパパも少なくないかもしれません。なぜ子どもたちは反抗期を迎えると、特にパパを避けがちになるのでしょうか? パパが意識したいこと、ママができるサポートはどのようなものでしょうか? 島根大学・こころとそだちの相談センターでのカウンセリングなどを担当する、臨床心理士・公認心理師の西嶋雅樹さんに聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) わが子が万引き、親の対応は? 背景に受験ストレスも
(2) 中高学年「親と一緒のお風呂」卒業のタイミングは?
(3) 博物館 展示の詳細は忘れても学習に役立つ理由
(4) 高学年の「パパ嫌い」は子どもの成長に不可欠だった ←今回はココ

パパの家の中での役割は見えにくい

 高学年は、子どもから大人へと心身ともに成長する時期。それに伴い、子どもの家族への関わり方も変わっていきます。「パパへの接し方」もその1つ。小さい頃はパパっ子だった娘も、思春期になるとパパを避け始めたり、ろくに口を聞かなくなったりと、パパへの態度が急激に変化するケースを聞いたことがあるかもしれません。「パパ、嫌!」という現象は娘だけではなく、息子にも起こるようです。なぜ、思春期を迎えた子どもはパパを嫌がる傾向にあるのでしょうか。

 臨床心理士・公認心理師の西嶋雅樹さんはこう話します。

 「思春期の子どもは、第2次性徴を迎えるなど、心身両面での変化が大きい時期を過ごしていて、イライラや複雑な感情を抱きやすくなっています。そのため、親の言うことを素直に聞くことができず、反抗してしまいがちになります。特に女の子の場合は、お父さんが異性であることを意識し始め、距離を取るようになることが多く見られます。

 なぜお父さんが嫌われてしまうケースが多いのか。今は時代が変わりつつあるといっても、依然として育児や家事を主に女性が担うケースが多い中で、一般的にお父さんの役割は目に見えにくい傾向にあることも関係しています。共働き家庭でも、仕事を持ちながらも育児や家事をしたり、学校関係のことでいろいろと気を配ってくれたりするお母さんのほうが、子どもにとって親としての役割を実感しやすいんですよね。

 逆に、お父さんの役割がよく分からず、家では『疲れている人』という印象しかない子どももいるかもしれません。そんな中で、急に、そしてたまに厳しく注意されたり、『自分が子どもだったときはこうだったから、こうしなさい』と言われたりすると『私/僕のことを全然分かってないくせに!』『パパなんて大嫌い!』と反発心が芽生えてしまうのでしょう」

 パパはよかれと思って注意や助言をしたのに、かわいいわが子の反感を買ってしまうのはつらいはず。家族内の空気を悪くしてしまう原因になる可能性もあります。しかし、西嶋さんは「パパの気まぐれに見える注意や助言」を必ずしも否定する必要はないと言います。それはいったいなぜなのでしょうか。

 次ページからは、父子関係をより円満にするためのママのサポート方法や、パパが意識すること、思春期の子どもに対する親の見守り方についても紹介します。