休日のお出かけ先として人気の博物館。歴史、科学、恐竜、鉄道、宇宙など多様なテーマの博物館があり、規模も、1日かかっても全部見ることができない大規模なところから、こぢんまりした資料館までさまざまです。親子での博物館見学を実りある体験にするためには、どのような準備や心構えをしたらよいのでしょうか。日本の歴史や考古学、民俗を研究・展示する国立歴史民俗博物館広報連携センター長の山田慎也さんと同センターの上野祥史さんに、高学年親が知っておきたいポイントを聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
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「こう見なければ」の決まりはない

 高学年の子どもと博物館に行くとなると、親はつい学校の勉強や受験を意識してしまいます。これまでに勉強したことを復習させる機会にしたい、新たな知識を身に付けさせたいと肩に力が入ってしまうかもしれません。子どももこれまでの体験から、博物館というと、くまなく見て勉強するところという意識を持っているかもしれません。

国立歴史民俗博物館。千葉県佐倉市にある日本の歴史学、考古学、民俗学を総合的に研究・展示する博物館。展示している約1万点の資料の中には実物大の再現や模型も多く、当時の様子を体感しやすい。開館時間:9:30~16:30(10月~2月・入館は閉館の30分前まで)。休館日:毎週月曜日(休館となる日が休日にあたる場合は開館し、翌日を休館日とする)、年末年始(12月27日~1月4日)
国立歴史民俗博物館。千葉県佐倉市にある日本の歴史学、考古学、民俗学を総合的に研究・展示する博物館。展示している約1万点の資料の中には実物大の再現や模型も多く、当時の様子を体感しやすい。開館時間:9:30~16:30(10月~2月・入館は閉館の30分前まで)。休館日:毎週月曜日(休館となる日が休日にあたる場合は開館し、翌日を休館日とする)、年末年始(12月27日~1月4日)

 しかし国立歴史民俗博物館・広報連携センター長の山田慎也さんは、「博物館へ行く目的は親子で楽しむことにしてほしい」と話します。同センターの上野祥史さんも「博物館見学に勉強への即効性を求めるのは難しい」と話します。「学ばせようと思っても、見たことは忘れてしまうものです。しかし印象は残ります」。

 この「印象」が、確実に学習の役に立つそうです。詳しくは3ページ目で解説してもらいます。

 「博物館の展示にはこう見なければという決まりはありません。展示する側の思いを受け取らなければと思う必要もありません。例えば国立歴史民俗博物館では、来館者に資料を見て驚きを楽しんでもらい、さらに興味を持ったら『どんな時代だったのか』ということを自分なりに考えてほしいという思いから、研究の成果を多面的に提示しています」(山田さん)

 上野さんは展示を作る側として「来館者は我々のメッセージをまるごと受け止めようと頑張る必要はありません」と話します。それではどのように見学するとよいのでしょうか。詳しく聞いていきましょう。

博物館あるある 学びにつなげるために「こうであらねば」の思い込み

●作り手のメッセージを受け止めなければ
●1つひとつ全部見なければ
●黙って静かに見なければ
●順路の通りに見なければ
●親が教えてあげなければ