「うちの子、思春期になったらどうなるの?」 わが子がおくてでも早熟でも、子どもが10歳を過ぎるころから気になっている親は多いのではないでしょうか? そこで2回にわたって「いつかは来る(もしくは既に来ている)わが子の思春期」を上手に乗り切る方法を紹介します。今回は、接する時間が少ないからこそ気になる子どもとの接し方について、2人の専門家に話を聞きました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 脳とコミュニケーションに効く厳選ボードゲーム
(2) ママが乗り気だとボードゲームは盛り上がる
(3) 思春期の親子危機を救う土曜夜のぶっちゃけトーク ←今回はココ!
(4) 思春期の子どもを「積み木くずし」にしない方法

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

話しかけるより、話を聞いて!

 「親に話を聞いてほしい」

 「思春期の子供は親に対してそう思っています」と話すのは、昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員で社会学博士の臼田明子さんです。臼田さんは、全国の20代男女946人を対象に、中高生時代の父親との関係について聞く調査を実施しています。その結果明らかになったのが、「思春期の子どもたちは、親とのコミュニケーションを求めている」という事実だと言います。

 親子のコミュニケーションというと、親が積極的に話しかけたり、話題を提供したりというイメージがありますが、そうではないというのは意外です。「子どもたちは、“今日、身の回りで起きた出来事”について親に聞いてほしいと思っています。日常の何でもない話を親はいつでも聞いてくれる。それが『親は自分のことをいつでも受け入れ、理解してくれる存在』という安心感につながるのです

“to do”の連発と芋づる式の文句には要注意

 臼田さんによるとやってしまいがちな失敗が「早く宿題をしなさい」「さっさとお風呂に入って寝なさい」と“to do”ばかりを言い続けたり、子どもの話を聞く前から、「あなたは中学受験をする気があるの? なら勉強をしないと。友達は塾に行っているのでしょう」と一方的に質問攻めにするというパターンです。これでは、子どもは口を挟むすきがなく、「ママもパパも話を聞いてくれない」と、心を開かなくなってしまいます。

 「特に母親が叱る時は要注意です」と臼田さんは言います。「感情的になると、何年も前の記憶を引き出して『そういえばあなたは保育園の時もそうだった、上級生になったのにまだそうなの?』と芋づる式に叱り続けてしまうことが少なくありません

 また、子どもが何か言おうとしたときに「口答えはダメ」と一喝して、子どもが黙ってふてくされようものなら、「言いたいことがあるなら言いなさい」と雰囲気が悪くなることもよくあります。「子どもの気持ちとしては『言いたいことは山ほどあるけれど、ママやパパには言いたくない。だって、どうせ聞いてくれないから』というところです。これではコミュニケーションがシャットダウンしてしまいます。すると、親子間の会話が減っていき、何か問題が起きたときにも一緒に解決するための関係性が不十分になってしまうのです」

 では、どうしたらよいのでしょうか。次のページからは子どもとの会話をうまく進める方法について聞いていきます。

<次のページからの内容>
● 子どもの言葉を引き出し、家庭内ボキャブラリーを育てよう
● 子どもの話に「ふ~ん」で済ませるのはNG
● 幼児期でも親がなんでも決めてしまわずに主体的に話す訓練を
● ぶっちゃけトーク会で思春期のコミュニケーション危機を乗り越えよう
● スマホやアイドル、子どもを先生にして話を引き出す
● 平日は忙しくても週末にコミュニケーション貯金をすればOK