男女ともに体つきが少しずつ変化していく中高学年の子ども。いつから「子ども扱い」をやめるといいのでしょうか? 親とのお風呂事情もその1つ。体が成長しても、子ども自身がいつまでも親と一緒に入りたがり、親のほうが違和感を持っているケースもあるかもしれません。これまで一緒だった入浴タイムを別々にするタイミングは? その際のスムーズな伝え方は? 島根大学・こころとそだちの相談センターでカウンセリングなどを担当する、臨床心理士・公認心理師の西嶋雅樹さんに聞きました。

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体の変化が1つの目安に

 ある日子どもから、「もう一緒に(ママやパパと)お風呂に入りたくない」と言われて、傷ついたという親の話を聞いたことがあるかもしれません。とはいえ、いつまでも一緒にお風呂に入っているのも困りもの。一体、何歳くらいまで、わが子と一緒に入浴するものなのでしょう?

 臨床心理士・公認心理師である西嶋雅樹さんは、こう話します。

 「子どもとのお風呂を卒業するタイミングを、『何年生まで』『何歳まで』と子どもの年齢で明確に決めるのは難しいです。心身の成長のペースは子どもによってさまざまですから。ざっくり言うと、子どもの体に変化が起きてくるタイミング(第2次性徴)が、親のほうから線を引く1つの目安にはなるでしょう。男女ともに、いわゆるプライベートゾーン(性に関わる体の部位)に変化が起きたときがベストなタイミングだと思います」

 その際には、「『大人の体になってきたね』と親子でしっかり話し合う必要があります」と西嶋さんは言います。

 「思春期を迎える子どもは、まさに体の変化を経験し、それとどう向き合っていくのかを考える時期。女の子でいえば初潮を迎え、男の子でいえば精通が起こるなど、自分の体に対して戸惑いが強く出る傾向にあります。子どもと体の話をすることは勇気が要ることかもしれませんが、体の変化について何も触れないまま、『一緒のお風呂はもう終わり』などと親が一方的に告げてしまうと、子どもは親から突き放されたような気持ちになる可能性があります。かといって、やみくもに体の変化について話題に出せばいい訳ではありません。デリケートな内容ですので、伝え方を間違ってしまうと、子どもに嫌悪感や羞恥心を生じさせ、親と口をききたくなくなるなど、親子関係がこじれてしまうリスクもあります」

 では親は、子どもの体の変化について、どのように話をすればいいのでしょうか。次ページから具体的に聞いていきます。