上級生ともなると、子どもたちの遊びの主流はDSやテレビ、コンピューターのゲーム。友達同士で集まっても、目は画面にくぎ付け、無言で指だけを動かしているという風景にため息をついている親も多いのではないでしょうか。そんな子どもたちに提案してほしいのが、ゲームはゲームでもアナログのボードゲームです。日本でボードゲームというと「人生ゲーム」や「UNO」くらいですが、世界にはたくさんのボードゲームがあります。11月の高学年向け特集前半では、専門店オーナーのナビゲートで「親子で楽しめるボードゲーム」を紹介しています。国内屈指のボードゲーム専門店「すごろくや」の丸田康司さんのナビゲートで6アイテムを紹介した第1回に続き、第2回でもおすすめの7つのゲームや、ボードゲームの遊び方のコツを紹介します。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 脳とコミュニケーションに効く厳選ボードゲーム
(2) ママが乗り気だとボードゲームは盛り上がる ←今回はココ!
(3) 思春期の親子危機を救う土曜夜のぶっちゃけトーク
(4) 思春期の子どもを「積み木くずし」にしない方法

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

ボードゲームで遊ぶと頭がよくなる理由

 ボードゲーム専門店「すごろくや」のオーナー丸田さんは、著書『おうちでボードゲームforママ&キッズ』の中で「ボードゲームは子どもに与えておけばよい子に育つ、というような『魔法の杖』ではありません」と語っています。子どもが1人でも遊べるようなテレビやコンピューターのゲームとは異なり、ボードゲームは大人が理解し、積極的に関わる必要があるということです。ボードゲームはその場や子どもたちに応じた「楽しい工夫」をしてこそ、魅力や効果が最大限に発揮されるのだそう。

 「それだけにボードゲームは『大変』です。しかし、代わりに得ることもたくさんあります。端的に言って、ボードゲームをやると子どもの頭はよくなります。まず、ルールを理解することを通して、文章を読み解いて、理解する読解力が身に付きます。また、目先のことではなく、最終的なゴールに向かって、どう進むかを論理的に考える力は、どのような学びにおいても重要な根幹を担います」と丸田さん。なるほど、どうやらボードゲームは地頭をよくすることにもつながりそうです。「それに、ボードゲームは大人のほうが楽しめてしまうものもたくさんあります。最初は『大変』かもしれませんが、ぜひ楽しめるレベルを目指して子どもと競い合ってほしいですね」

記載の対象年齢を1.5倍したくらいの年齢で遊ぶのがちょうどいい

 テレビコマーシャルなどがないボードゲームは情報が少なく、どれを選んでいいのか分からないものです。「ボードゲームを選ぶときは、ぜひ専門知識のあるスタッフに遊ぶ人の年齢や人数、どのくらいの時間で遊びたいかを伝えて、相談してみてください」と丸田さんは話します。ゲームの箱やネットショップの案内には対象年齢が書いてありますが、それはうのみにしても大丈夫なのでしょうか?

 「そこが注意点です。8歳以上と書かれていたとしても、8歳ならば誰でも遊べるのではなく、『8歳なら遊べる子も少しはいますよ』というくらいの意味なんです。大半の8歳児には難しいと思います」。丸田さんによると、表示された対象年齢を1.5~2倍した年齢が「誰でも遊べる年齢」だと思って遊ぶのが得策なのだそう。例えば、「8歳」とあれば、そのゲームは12~16歳以上なら遊べるのだなと考えるとよいということです。となると、小学校高学年というのは、まさにボードゲームを楽しめる年齢ということになります。

ママが気に入ったゲームなら家族で楽しめる

 もうひとつ、家族でボードゲームを楽しむうえで注意したいことがあるのだそう。「それは、お母さん目線で選んでほしい、ということです」と丸田さん。ボードゲームに関心を持つのは男性が多いので、どうしてもお父さんが自分の好みで選んでしまいがちです。「そうなると、お父さんだけが盛り上がって、お母さんと子どもが楽しめないという不幸な事例になってしまいます」。

 その結果「難しいからお母さんはやらないわ」ということにもなりそうです。丸田さんによるとボードゲームには忙しいお母さんでも分かりやすくてすぐに遊べるゲームや、前回紹介した「タイニーパーク」や「ねことねずみの大レース」のようにかわいくて思わず飾っておきたくなるようなゲームもたくさんあります。「ぜひ、お母さんが気に入ったゲームを選んでください」

ゲームを通してコミュニティーのルールが身に付く

 「ボードゲームは、1回目はルールを理解するだけで精いっぱいかもしれません。しかし、そこでお蔵入りにせずぜひ、何度か遊んでみてください。繰り返すうちに、新しい発見があり、面白さが分かってくるでしょう」と丸田さんは話します。「ボードゲームの魅力は『全員が自らの意思で小さな社会を成り立たせている』というところにあります。その小さなコミュニティーを通して『なぜルールがあるのか』『ルールを壊すとどうなるのか』といった社会人としての意識を学ぶことにもなるはずです

ルールは音読しながら参加者皆で理解しよう

 ボードゲームはルールが複雑で難しいというイメージ。そのために、チャレンジを先延ばしにしてしまうことも多いようです。丸田さんは「ゲームのルールは家族の誰かが声に出して読み、それを皆で聞きながら理解していくのが良い」と言います。例えばお母さんが音読してみて、読みながら分からないことがあったら、周りの家族に聞いてみましょう。音読を聞いている家族も、分からないことはその場で質問するようにしましょう。そうやって読み進めていけば、全員が同じようにルールを理解できた状態になります。

 それでは、高学年におすすめのボードゲーム7点をを紹介していきましょう。

<次のページからの内容>
● カードでビルを作り、駒を登らせる3Dゲーム 「キャプテン・リノ:スーパーバトル/ Rhino Hero - Super Battle」
● 盤上で赤と青のオバケを取らせたり、狙ったり 「ガイスター/ Geister」
● 出題者の志向を想像して、回答を競い合う 「ベストフレンドS / BestFriendS」
● 同じ数字や連続数字をつなげる数字パズル 「ラミィキューブ/Rummikub」
● 言葉の説明だけでお題を絵に。表現力が身に付く 「デュプリク/Duplik」
● 美しくて不思議なカードにタイトルを付けよう 「ディクシット/Dixit」
● タイルをつないで都市や道路を自分のものに 「カルカソンヌJ/CarcassonneJ」