首都圏では中学受験が過熱し、「低学年のうちから塾に通わせてきた」という家庭が多いかもしれません。一方で、中学受験の勉強を始めているけれど、「小学校のうちはのんびり過ごさせてあげたい」「子どもが中学受験の勉強についていけるか不安」といった家庭もあるでしょう。わが子が中学受験と高校受験、どちらに向いているか見極めるポイントはあるのでしょうか。最新の中学受験事情も踏まえ、25年の受験指導歴を持つSchool Post主宰の石井知哉さんが解説します。

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中学受験が加熱している背景は

 首都圏の受験者数が過去最多となった2022年中学入試。受験熱が高まる中、低学年のうちから塾通いを始めるなど着々と準備をしている家庭も多いかもしれません。一方で、「小学生のうちはのびのびと育てたい」「子ども本人のやる気が追いついていない」「高校受験ではダメなの?」などと悩んでいる家庭もあるかもしれません。

 中学受験と高校受験、わが子がどちらに向くのかをどうやって見極めればよいのでしょうか。学習塾を運営するQLEAの教育事業部部長で、保護者向け教育情報サイト「高校受験ナビ」を運営するSchool Post主宰の石井知哉さんは「中学受験の選択肢が広がってきていることも、迷う一因かもしれません」と言います。

 「一昔前までは中学受験に有利なのは『精神年齢の高い子』『学校の成績が良い子』といわれ、偏差値ありきで受験や学校選びが行われていました。しかし、近年ではカリキュラムも多彩で、面倒見がよく個性を伸ばす中堅校が増えてきました。その結果、学校とわが子の相性を考えて受験をする家庭も増え、中堅校を狙う層が厚くなりました。従来の中学受験向きのタイプだけではなく、幅広い子がアプローチできるようになってきています」

 そのため「わが子だけ受験しなくて大丈夫?」などと、親の焦りや心配が増しているとも考えられます。

 「大切なのは中学受験がすべてではない、中学受験ありきではないことです。私は進学塾で小学生の中学受験から、高校生の大学受験、大学生の就活アドバイスもしていますが、現時点の正解が将来にわたって正解であり続けるとは限らないのです。過酷な中学受験を乗り越えて難関校に合格したとしても、燃え尽きて不登校になる子もいます。

 現実的な問題として、中学受験への向き・不向き、中学受験と高校受験の制度的な違いなども存在します。総合的に判断して、わが子がどちらに向いているか、しっかり見極めた上で判断するのがいいでしょう」

 それでは、詳しく聞いていきましょう。

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