高学年ともなると、遊びの主流はテレビ、コンピューターのゲームという子が多くなります。友達同士で集まっていても、目は画面にくぎ付け、無言で指だけを動かしているという風景にため息をついている親も多いのではないでしょうか。そんな子どもたちに提案したいのが、ゲームはゲームでもアナログのボードゲームです。ボードゲームというと「人生ゲーム」や「UNO」くらいしか思いつかないかもしれませんが、世界にはたくさんのボードゲームがあります。11月の高学年向け特集前半では、専門店オーナーのナビゲートで「親子で楽しめるボードゲーム」を紹介します。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 脳とコミュニケーションに効く厳選ボードゲーム ←今回はココ!
(2) ママが乗り気だとボードゲームは盛り上がる
(3) 思春期の親子危機を救う土曜夜のぶっちゃけトーク
(4) 思春期の子どもを「積み木くずし」にしない方法

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

子どもは無邪気に、大人は知的に遊べるのがボードゲームの魅力

 東京・高円寺にある「すごろくや」は日本最大級のボードゲーム専門店。今回はオーナーの丸田康司さんにボードゲームの選び方や、遊び方についてお聞きしました。

 

 丸田さんによると世界には数千種類のボードゲームがあるのだそう。なかでもドイツはボードゲーム大国。毎年500~600種類もの新ゲームが発売されているそうです。「ドイツのボードゲームには作家名が書かれています。ファンは『この作家が作るゲームなら次回も面白いに違いない』と期待して、ゲームのクオリティがどんどん高まっていったのです」と丸田さん。

 ドイツには、その年に発売されたゲームの中から選ばれる「ゲームオブザイヤー(ドイツ名Spiel des Jahres)」という賞もあるといいますから、その関心の高さや、生活に浸透していることがうかがえるというものです。

 「最近のボードゲームの特徴はどれも戦略性や創意工夫が必要となる奥が深いものばかりです。子どもは無邪気に遊べる上に、大人も知的な能力を発揮して考えながら遊ぶことができます」。

ボードゲームとコンピューターゲームの違いは?

 ボードゲームの魅力は「すべてを自分たちが動かすことで成り立つ、楽しくて小さな世界」であること、と話す丸田さん。電子機械にジャッジを依存するテレビやコンピューターのゲームと違い、自分たちですべてを取り仕切るボードゲームは、全員がルールを理解したうえで、主体的に行動しなければなりません。ということは、「ずる」などのルール破りも可能なわけですが、不思議なことに、参加者全員が無意識のうちにゲームの世界をうまく成り立たせようとしてしまうのだそう。自分と自分の前にいる“関わっている人”たちが、共通したルールの中で一番楽しくなるように支え合う。それがボードゲームの世界です。“ルールを理解するまではちょっと大変”かもしれません。でも“みんなでやるなら、それがいい”のです。

 みんなでやることでコミュニケーション力は自然に高まります。また、相手はどう出るだろう、といった客観的にものを考える思考力や、そうしたら自分はどうする?と考える柔軟性が身に付くのもボードゲームの良いところ。こうした特徴から、ボードゲームを用いて発達障害のある子どもたちのコミュニケーション能力を伸ばす「アナログゲーム療育」も開発されているほどです。

 今回は丸田さんから高学年におすすめのボードゲームを、体験しながら教えてもらいました。挑戦した記者とカメラマンはボードゲーム初心者。初めはルールを理解するのでせいいっぱいでしたが、慣れてくると勝ちたいという気持ちで脳がフル回転。勝っても負けてもゲームが終わるたびに、やり遂げた充実感が得られ、「もう1勝負やりたい」いうやる気の高まりを感じました。ボードゲームは大人の脳の活性化にも役立ちそうです。

すごろくやの丸田康司オーナー。「MOTHER2」や「風来のシレン」などテレビゲームの開発に15年以上携わった後、アナログボードゲームの面白さを伝える側に回った
すごろくやの丸田康司オーナー。「MOTHER2」や「風来のシレン」などテレビゲームの開発に15年以上携わった後、アナログボードゲームの面白さを伝える側に回った
<a href="http://sugorokuya.jp/">すごろくや</a>の店内。国内最大級の約400種類のゲームを常時販売。ネット販売も行っている
すごろくやの店内。国内最大級の約400種類のゲームを常時販売。ネット販売も行っている

 次のページからは丸田さんのおすすめボードゲーム6点を紹介していきます。

<次のページからの内容>
● サイコロの絵をそろえて遊戯施設を作っていく 「タイニーパーク /Tiny Park」
● 必ず2枚の絵が揃う不思議な絵合わせ。「ドブル/Dobble」
● 道のタイルを置いて神殿へ行ったり、貴鉱石を集めてポイントを稼ぐ 「カルバ/ Karuba」
● ネコにつかまらないようにチーズを大量ゲット!「ねことねずみの大レース/Viva Topo!」
● 無言がルール。協力して4色のコマを脱出させる 「マジックメイズ/Magic Maze」
● どんどん変化する迷路で目的地を目指す 「ラビリンス/Das verruckte Labyrinth」