中学受験では、男の子・女の子それぞれの特性を大事にする別学校だけでなく、男女共に学ぶ共学校も人気を集めているようです。こうした流れに対し「共学が別学に比べ学力面で有利に働くというコンセンサスがあるわけではありません」と教育経済学の第一人者で、慶應義塾大学総合政策学部教授の中室牧子さんは話します。これから志望校を絞っていく中で親が知っておくべき、共学校・別学校の差が学力にもたらす影響について中室さんに教えてもらいました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
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(2) 共学と別学、子どもの学力を伸ばすのはどっち? ←今回はココ
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受験で人気の共学校。その人気の根拠は?

 11月半ば、中学受験家庭は志望校を絞っている時期でしょう。志望校選びでは、偏差値、校風、自宅からの距離などのほか、共学・別学という点も重要な検討要素の一つです。

 近年では、従来男子校・女子校だった中高一貫校が共学化に踏み切るという流れもあります。共学志向の背景にあるのは、世の中には男性と女性がいるのだから、あえて性別で分けずに男女共に学ぶ環境の方が自然だという考えです。

 こうした流れに対し、教育効果をデータ分析し科学的に検証する教育経済学の第一人者の中室牧子さんは「少なくとも学力向上に関しては、共学が別学と比べて有利に働くというコンセンサスがあるわけではない」と話します。

 「別学の公立高校を共学にするなど、共学を推進する流れがあり、受験生の親子は、確たる理由もなく『共学の方が良さそうだ』という印象を持つかもしれません 。ただ、信頼性の高い複数の学術研究は、むしろ『共学よりも別学の方が学力向上には有利に働く』と主張しています」

 次のページから、中室さんに詳しく解説してもらいます。