「お店や人のものをとってはいけない」。これは多くの親が教えてきていることでしょう。しかし小学生の万引きはここ数年減っていません。もしわが子が万引きをしたら親はどうしたらよいのでしょうか。法務省矯正局職員として少年鑑別所、刑務所等に長年勤務し、非行少年やその家族に関わってきた臨床心理士の日高(高ははしご高)みちえさんに、親が取るべき対処法や小学生が万引きをする心理的背景を聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
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子どもが万引きをしたらどのような対処をしたらよい?

 小学生や14歳未満の中学生は刑事責任能力に欠けるとされており、ものを盗んでも逮捕されません。しかし法に触れ、人に迷惑を掛ける行為には違いありません。場合によっては児童相談所に通報されることもあります。

 警視庁の「万引きに関する調査研究報告書(令和元年度版)」によると、小学生の保護者300 人のうち、16 人(約5%)が「子どもが万引きをしたことがある(または、そう思う)」と回答しています。平成30年に万引きで都内で補導された小学生は489人で、都内の同年の小学生全体における割合では 0.085%でした。ただし、補導された割合に比べると、実際にはかなり多くの子どもが万引きをしていると推測されることが、報告書の中で述べられています。

 家庭や学校で「とってはいけない」と教えられているにもかかわらず、子どもたちが万引きをしてしまうのはなぜなのでしょうか。もしわが子が万引きをしたら親はどのような対処をすべきなのでしょうか。

 法務省矯正局職員として非行少年やその家族に関わってきた臨床心理士の日高みちえさんは、子どもが万引きをした際の親の「してはいけない」NG対処法として次のことを挙げます。正しい対処法やポイントとともに、次ページから詳しく聞いていきましょう。

子どもが万引きをしたときの、親のNG対処法

■お店や警察へ行った際に、「なぜうちの子だけ」と文句を言う
■子どもを叱らない。親子の間でうやむやにする
■「もうお前なんか知らない・いらない」などと子どもを見捨てる言動をする
■子どもを責める
■友達関係を否定する