「中学受験をする・しないで変わる高学年の秋からの過ごし方」をテーマにした年齢別特集の第3回は、5年生の秋からの中学受験です。今までのんびり構えていたけれど、公立中学の噂を聞いたり、内申制度への不安を感じたりして、この時期から「やっぱり中学受験をさせようか」という家庭もあるのではないでしょうか。中には、全く中学受験を考えていなかったけれど、周りの子たちが塾に通っているのを見て、子どもから「塾に行きたい」と言ってくるケースもあります。そうした場合、どのように学習を進めていけばいいのでしょうか。前回に引き続き、家庭学習コンサルタント・ドリームエデュケーション代表の坂本七郎先生に伺いました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 中学受験組6年生 残り3カ月の親の心得と対策
(2) 受験しない6年生 卒業まであと半年の過ごし方
(3) 5年秋に受験決意 サクラサク日へのロードマップ ←今回はココ
(4) 新4年で入塾しなくても中学受験はできますか?

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

負けん気が強い子なら集団塾で中学受験を目指す道もあり

 中学受験をする場合、新4年生=小学校3年生の2月から入塾するのが最もポピュラーで、次いで多いのが新5年生=小学校4年生の2月に入塾するケースです。

 そんな中で、5年生のこの時期から中学受験をするかどうかを考えた場合、親が気になるのは「今から勉強して中学受験に間に合うのか?」「塾に入って、ついていけるのかしら?」ということでしょう。

 「この時期から中学受験を目指す場合、2つのパターンが考えられます。1つはエスカレーター型、もう1つは階段型です」と、坂本先生は話します。

 エスカレーター型とは入塾テストを受けて集団塾に入る方法、階段型はまずは個別指導塾や家庭教師を利用し、集団塾に入塾する足がかりとする方法です。

 「エスカレーター型で行こうとすると、まず入塾テストに合格しなければなりません。集団塾の入塾テストは、学校での学習とはまた異なるので、今まで特に受験を意識した学習をしてこなかった子の場合、合格すること自体が難しいこともあります」

 入塾テストに合格した場合でも、それで安心というわけではありません。

 「小学校4年生または5年生の2月から入塾した子たちは、既に中学受験に向けた学習を進めています。もしテストに合格して入塾したとしても、これまでに進んでしまった部分の学習を家庭で補いながら、塾から出される課題もやらなければならないという、ハードな生活が待っています」

 基礎的なことが何も入っていない状態で集団塾に入るため、子どもにとってはかなりのストレスになるという面も。周りと比較して自信を失い、通いたくなくなってしまう子もいるといいます。

 坂本先生自身も、子どものころに入った英語の塾で、既に入塾していた周りの子との差を感じ、行きたくなくなってしまったという経験があるそうです。やはり、この時期から集団塾に入るのは、相当の覚悟が必要だといえるでしょう。

 では、もし入塾テストに合格したとしても、成績によってクラス分けされている集団塾の上位クラスでない限り、入らないほうがよいのでしょうか。

 「いいえ、子どもの性格によります」と、坂本先生。

 「負けん気が強くて食らいついていける子なら、集団塾でもやっていけるかもしれません。集団塾に入っている子でも、まだまだ解き方や知識があやふやな子は少なくありません。コツコツと学習できる子であれば、追いつくことは可能です。そういう子は、下のほうのクラスで合格しても、はい上がっていきますので、一概に入塾しないほうがいいとはいえません」

 集団塾でも、個人でやっているような面倒見の良いところなら、既に進んでしまっている部分をフォローしてくれることもあるといいます。子どもの性格や塾の特性をよく見極めて選ぶのが良さそうです。

 「でも、うちの子にはそんな負けん気もないし、近くに良さそうな個人塾もない…」という場合は、次ページからの階段型で中学受験を目指す道を考えましょう。

<次のページからの内容>

・ 個別指導塾や家庭教師を選ぶ際は中学受験の経験や指導経験を重視して
・ 集団塾入塾を目指す場合は目標を決めて学習プランを作成してもらう
・ 公立中学に進学させたくないという家庭では私立を第一志望に