LINEスタンプで感情を表現したり、ゲームで「うわっ」「すご」など短い言葉だけを発している姿を見たりして、子どもたちの語彙力が低下し、友達とのコミュニケーションに支障が生じるのではないかと不安を感じることはないでしょうか。その弊害や対策について、専門家に話を聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 地元中に進んだあとも、わが子が自分を保つためには
(2) 「まじ」「やば」…感情の言葉置き換え力上げるには ←今回はココ
(3) 父性の欠如が招くリスク 成長してから生じる影響は

子どもの「感情リテラシー」が育ちにくくなっている

 「まじ」「やば」「うざっ」といった短いセンテンスが繰り返される子どもたちの会話。聞いているうちに「本当にコミュニケーションがとれているのか」「友達との会話が成立しているのか」などと、心配になることはありませんか。

 子どもの発達心理に詳しい法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生さんは、「人とのコミュニケーションには、他人の感情や意を予測し、⾃分の考えや気持ちを言葉や表情、声、仕草で表現する『感情リテラシー』のスキルが欠かせない」と言います。

 ところが、こうした短い言葉は「コミュニケーション阻害語」とも言われ、乱用すると、自分の感情はもちろん、相手の気持ちも受け止めきれず、結果としてコミュニケーションが成立しなくなる危険があるようです。「こうした短いセンテンスのやりとりを繰り返していると、子どもが自分の感情をうまく言語化できず、感情リテラシーが育ちにくくなってしまいます。また、言葉だけに注意が向き、表情や仕草、声といった非言語のコミュニケーションがないがしろになりがちです」

 感情を表現するとき、人は言葉だけではなく、顔の表情や身ぶり手ぶりなど全身を使うものです。でも、最近の子どもたちは、友達ともゲームやスマホの画面を見ながら会話をしています。行動が制限されてきたコロナ下では、全身を使って遊ぶ機会がますます減ってしまい、感情リテラシーを育む機会が少なくなっています。

コロナ下で家にいる時間が長くなり、スマホ画面を介して友達とやりとりする機会が増えた子どもも多い
コロナ下で家にいる時間が長くなり、スマホ画面を介して友達とやりとりする機会が増えた子どもも多い

 子どもたちの短いセンテンスの多用は、こうした遊び方の変化も影響していますが、むしろ「大人の関わり方のほうが影響は大きい」と、渡辺さんは指摘します。

詳しくチェック!
・子どもの感情リテラシーが未熟な最大の要因は「○○の会話」
・会話のお手本を示す前に、親がすべきことは?
・時には子どもの気持ちを○○してあげるといい
・相手との密なコミュニケーションをとるために必要なものは