中学受験の勉強や学校行事の準備など、何かと忙しい小学校高学年たち。体は大きくなって、自分の意見もはっきり口にするようになり、ときに強い言葉が飛び出す……。しかし、肝心なことに限って話してくれないもの。親は子どものストレスのサインをどうやってキャッチし、どのように対処すればいいのでしょう。名古屋大学医学部附属病院・親と子どもの心療科准教授の岡田俊さんに聞きました。

【年齢別特集 高学年のママ・パパ向け】
(1) ネット社会を生きる小学生の「恋愛」と親の関わり方
(2) 体は大きくても心は繊細な高学年 親はサインに注意←今回はココ
(3) 夫婦関係や親のメンタル不調が子どものストレス源に

悩みを打ち明けない子どもたち

 小学校高学年になると、子どもは心の内を明かさないものです。これは正常な発達といえるでしょう。しかし、親にしてみればこれほど不安なことはありません。模試が迫っているのに動画鑑賞やゲームの時間が増える。親が小言を言えば言うほど、夜遅くまで何かをしている。親が気にすれば気にするほど、子どもは自分の部屋をピシャッと閉めてしまいます。

 名古屋大学医学部附属病院・親と子どもの心療科准教授の岡田俊さんはこう話します。「高学年になると、親とは独立した世界を持つようになります。そのため、悩みごとも友だちに相談しようとします。しかし、大人たちの世界と比べると、子どもの世界は狭く、同級生からのいじめやからかい、担任の先生とうまくいかないといったことは、自分が生きている世界が失われてしまうといったレベルの衝撃なのです。親には何でも相談してほしいと、親の誰もが思っています。しかし、子どもは親に相談したということが友だちに知られたらからかわれる、親に相談してもきっと解決しない、学校のことで悩んでいると親が知ったら親ががっかりする、などと思ってしまい、相談できないまま一人で悩んでいることも多いのです

 そんな子どもの悩みには、どのようにすれば気づくことができるのでしょうか。

 「子どもが抱えている本当に大事なことほど、その表現の仕方は婉曲的で分かりにくいものです。例えば、子どもが送ってきたSNSのメッセージがいつもと違い、何か言いたそうだ、何かおかしい。そんなとき『もう、一体何なの?』ではなく『何か様子がおかしいけれど、どうしたの?』と一声をかけたいものです。しかし、そんな的を射た質問にも子どもは『いや、別に』としか答えないかもしれません。だから、その後も様子の変化にアンテナを張る必要があります

 次のページからは、子どもが発するストレスサインを紹介します。ドキッとすることがあれば、親はアンテナを張りましょう。