中学受験をせず地元の公立中に進学した場合、約3年後には高校受験が控えています。志望校に無事合格してほしいと願う一方で、進学予定の中学が「荒れているらしい」などの噂を聞くと、子どもが雰囲気に流されないかと心配になるかもしれません。また、私立中に比べのんびりしている雰囲気に、「わが子の学力は大丈夫だろうか」と不安になることもあるでしょう。わが子が中学入学後、自主的に勉強し、充実した中学生活を過ごせるようになるために、高学年のうちから親が意識しておきたいことを専門家に聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 「荒れてる地元中」でわが子が自分を保つためには ←今回はココ
(2) 「まじ」「やば」…感情の言葉置き換え力上げるには
(3) 父性の欠如が招くリスク 成長してから生じる影響は

中1からの塾通いは必要?

 公立中に進学した場合、大半の生徒にとって、約3年後に高校受験が控えています。親は、高校受験に向けてしっかり勉強してほしいと考えるものですが、一方で、公立中には多様な価値観を持つ生徒が通っています。進学予定の中学について「荒れているらしい」などの噂を聞くと、「子どもが雰囲気に流されて、勉強をしなくなったり、素行が乱れてしまったりするのではないだろうか」と心配になるかもしれません。荒れているほどではなくとも、私立中に比べのんびりしている雰囲気に、「子どもの学力は大丈夫だろうか」と不安になり、1年生のうちから塾通いを検討する親子も多いのではないでしょうか。

 しかし元中学校教師で、現在「思春期の子育てアドバイザー」として活動する道山ケイさんは、多くの思春期親子の悩みに向き合ってきた経験から、「高校受験に向けて勉強に本腰を入れるのは、中学3年生からで十分」と言います。

 「1、2年生のうちは最低限、学校で出される宿題と、定期テストの勉強をしておけば、ひとまず心配は不要です。ただし、都道府県によっては1、2年生の内申点も入試の際の評価対象になる場合があるので、ご自身の都道府県の制度は早めに調べておきましょう」

 最初が肝心と考え、中学入学前から通塾を検討したり、勉強習慣をつけさせなければと考えたりするかもしれません。けれども、「中学入学直後は、どの子も基本的にモチベーションが上がっており、親に言われずとも『勉強を頑張ろう』と思っている子がほとんど」と道山さん。

 「それなのに、親がさらに『もう中学生なんだからしっかり勉強しないと』などとハッパをかけたり、本人が望んでいないのに塾に通わせたりするのは、むしろデメリットしかないと私は考えています」と言います。

 公立中入学後、子どもが充実した中学生活を送るために、高学年のうちから親が意識しておきたいポイントについて、具体的に聞いていきます。

この記事で分かること
・「中1ギャップ」に直面している子に対する、親のNG行動は?
・見せかけではない、本当に良好な親子関係とはどんな状態か
・思春期の子どもと会話がない……突破口は?
・「志望校見学」がモチベーションアップにつながらないわけ