小学校高学年の過半数近くが専用のスマートフォンやタブレットなどを持っているといわれます。ネットの海に存在する有象無象の情報に日々接している子どもたちのなかには、その年齢にふさわしい体験を飛び越えて、心と体がバラバラのまま知識だけ大人に近づいていくケースがあります。特に気を付けたいのが、ゲームやSNSを通じて恋人をつくる「疑似恋愛」で現実の生活がおろそかになったり、悪意ある大人のわなにはまって犯罪に巻き込まれたりするリスクです。

トラブルから子どもを守り、幸せな大人への階段を上ってもらうために、親はどこまで、どのように関わるべきなのでしょうか。ネット依存予防に取り組む「エンジェルズアイズ」代表の遠藤美季さんに聞きました。

【年齢別特集 高学年のママ・パパ向け】
(1) ネット社会を生きる小学生の「恋愛」と親の関わり方←今回はココ
(2) 体は大きくても心は繊細な高学年 親はサインに注意
(3) 夫婦関係や親のメンタル不調が子どものストレス源に

親世代に比べると、恋愛のハードルは明らかに低い

 げた箱にラブレターをいれたり、友達に頼んで思いを伝えるのが精いっぱいで、「付き合う」までのプロセスから恋心を募らせ育てるなんて考えたこともなかった……。

 DUAL世代が小学生だった頃と、現代の小学生では「恋愛」の在り方に大きな違いがあると、多くの小中学校で講演を行い、子どものネット依存予防に取り組む「エンジェルズアイズ」代表の遠藤美季さんは指摘します。

 「スマホの普及で大人と同じレベルの情報を簡単に得られる今の子どもたちは、その情報の正否にかかわらず、恋愛に関する知識がとても豊富。しかも、LINEなどのSNSなどを利用すれば、顔を見なくても気持ちを伝えたり、疑似恋愛のような状況を作り出せたりしてしまうので、恋愛に対するハードルがとても低いんです。時にリアルなつながりよりもSNSでのつながりを重視する現代の子どもたちにとって、仮想空間と現実との境目は大人が思うより曖昧で、簡単に飛び越えられるものなのでしょう

 SNS(LINEを含む)で告白すると、当然ながら同じツールを介して返事が来るため、2人のどちらかが公言しない限り関係性が公になることはありません。従来の告白の代替ツールとしての利用なら「時代の変化」と割り切ってその後に注意を払うこともできますが、問題なのは親からはその様子が全く見えないことです。相手がクラスメイトでもリアルな接点が一切ないまま、ツールを使ってやりとりをしてトラブルになることもあります。さらに心配なのは、ネット上で知り合った人と「付き合う」状態に発展する疑似恋愛のケースです。こうしたケースには、たくさんのトラブルの芽が潜んでいます。

写真はイメージです
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