以前は何でも素直に聞いてくれたわが子が、最近、何かにつけて反抗してくる――。親は「いよいよ思春期か」とつい身構えてしまいますが、カリスマ先生こと、田中博史さん(筑波大学附属小学校副校長)は「『思春期だから』というのは解決法になりません」と言います。思春期や反抗期との付き合い方について教えてもらった前編に引き続き、今回は、今すぐ取り入れられる“親の練習方法”などを教えてもらいました

【年齢別特集 高学年のママ・パパ向け】
(1) 「思春期のせい」にしないで親は自分を見直してみる
(2) “親になる練習”が足りていないと思春期でこじれる ←今回はココ
(3) 中学受験しない子の家庭学習で大切なこととは
(4) 中学受験しない子は今から高校受験を意識するべき?

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

評論家になるのは意外と簡単、でも自分がするとなると……

 そもそも親になるには「練習」が必要なのでしょうか。あまり聞いたことがない考え方かもしれません。

 「学校の先生は、複数の様々な生徒と日常的に触れ合っていますし、研究会など練習する機会もあります。でも、親は子どもに対して、いつもぶっつけ本番ではないでしょうか。上の子がいたとしても、下の子の場合は、性格や状況が違うこともあります。つまり、きょうだいがいたとしても、それほど参考になりません」。田中博史さん(筑波大学附属小学校副校長)はそう説明します。

 田中さんのおすすめする“練習方法”とは、あらゆるところで、周囲の親子を観察すること。「例えば、公園などは教材の宝庫です。逆上がりの練習をしている父と子がいるとします。見ていると、明らかに子どもは飽きているのに、お父さんの熱意だけが強いな、とか分かってきます。もしあの子が自分の子だったら、自分はどうするかな、などとシミュレーションするわけです

 「声のかけ方をもう少し工夫したほうが、うまくいきそうなのに」など、見ていると色々な考えが湧いてきます。「なんでもそうですが、評論家になるのは意外と簡単です。そして、その意見も割と当たっているものです。しかし、自分が自分の子どもに対峙したときに、そんなふうにできるかというと、なかなか難しいもの。自分の子どもに対しては、客観的に見ることが難しい。わが子に興味があり過ぎて、主観だけになってしまう。とても細い筒でのぞきこんでいるぐらい、視野が狭くなっているはずです

<次のページからの内容>
● 消化試合だと思っている日常に練習材料はいっぱいある
● 「扱いづらい大人」で終わっていないか
● 勉強時間を親子で決めるときに気を付けたいこと
● 「思春期は怖くない」と思うために
● 親子の「受け皿」を柔らかくしておく方法
● 褒める方法は2種類ある