「宿題したの?」「今、やろうと思ってたのに!」。小学校高学年になると、こうしたささいなやり取りから、親子間に険悪なムードが漂うことは増えるかもしれません。「うちの子もそろそろ思春期だからね……」。親は、ついそう思いがちですが、小学校教育界で知られるカリスマ先生である、田中博史さん(筑波大学附属小学校副校長)は「『思春期だから』で片付けないほうがいい」と言います。田中さんに、思春期や反抗期との付き合い方について教えてもらいました。

【年齢別特集 高学年のママ・パパ向け】
(1) 「思春期のせい」にしないで親は自分を見直してみる ←今回はココ
(2) “親になる練習”足りていないと、思春期でこじれる
(3) 中学受験しない子の家庭学習で大切なこととは
(4) 中学受験しない子は今から高校受験を意識するべき?

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

典型的な反発の始まり方

親「勉強したの?」
子ども「うるさいな、今やろうと思っていたのに〜」

 こんなやり取りに身に覚えがある人は多いかもしれません。「典型的な反発のスタートです。台本を作れそうなくらい、よくあるやり取りですよね」と田中博史さん(筑波大学附属小学校副校長)。学校のことを何も話してくれなくなった、親の言うことにいちいち反抗するようになった――など、高学年以降の反抗期は、避けて通れない印象があります。

 ところが田中さんは、意外なことを教えてくれました。「小学校教師を38年間やっていて、もちろん高学年も受け持ってきましたが、実は幸せなことに反発されて苦労した記憶があまりないのです」

 反抗期は、「子どもが大人になるために必要なこと」というイメージがありますが、そうではないのでしょうか。「人間対人間の話なので、一般論にはできませんし、マニュアル化も無理ですが、反抗期がなかったけれども、今も幸せな親子はいっぱいいますよ

 「例えば、子どもの反応が以前と変わってしまった。すると親は、『うちの子もいよいよ思春期か……』と腫れ物に触るようになります。でも『思春期だから』で片付けないほうがいいでしょう。『思春期だから』というのは何の解決法にもなりません

<次のページからの内容>
● もし子どもに変化があったら、見直すべきは……
● 2~3歳の子どもを持つ親を見ていて気付いたこと
● 期待値が大きければ大きいほど、親は「過干渉」に
● 追いかけられているときは、逃げることしか考えられない
● 反抗期のメリットとデメリットとは