小学校高学年にもなると、体の成長とともに心理的にも発達してきて、これまでになかったような態度を親に取ったり、厳しい言葉を発したりするようになります。東京成徳大学大学院・心理教育相談センター長で公認心理師の田村節子さんに、子どもの心の内や、それをきっかけにした子どもの生きるスキルを育む方法を聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 勉強、運動…よく寝るとパフォーマンスが上がる
(2) いじめは心配 でもスマホを親が勝手に見るのはNG
(3) 親への厳しい態度や言葉は子育て成功の証し、その理由は? ←今回はココ

親に対する辛辣な態度や言葉は「子育て大成功」の証し

 幼児の頃は「ママ/パパ、大好き」と言葉に出して言ってくれたり、1日に何度もハグをしたりしてくれたわが子。就学後も言葉には出さなくても、目が合えばニコッとしたり、外出中は手をつないだりして「好き」という気持ちが伝わってきていました。

 それなのに! 高学年になってからは、親と一緒にいるときに友達に会うと、親からスッと離れたり、ついてこないでと言ったりすることが出てきます。また、「ママの服、ヘン! パパ、そのお腹、なんとかならないの?」と親の服や髪形、体形に否定的なことを言うこともあります。

 ママ/パパ大好きオーラが出ていた子の態度の変化や辛辣な言葉には、どんな気持ちが反映されているのでしょうか。スクールカウンセラーとして多くの親子を支援してきた東京成徳大学大学院・心理教育相談センター長で公認心理師の田村節子さんは、次のように話します。

 「そんなことが起きたら、子育ては大成功です。親御さんは大いに喜んでいいんですよ。ぜひこれをきっかけに、子どもが社会に出たときに必要となるスキルを育ててあげてください」

 えっ、嫌がられたり、辛辣な言葉を投げつけられたりすることのどこが子育て大成功なのでしょうか。また親の返し方次第で、子どもに必要なスキルにつながるとは? 次ページから詳しく聞いていきましょう。

こんな子どもの態度や発言に、親はどう返すべし?

(子ども)「一緒に行きたくないから留守番してる」

この返し方はNG!
(親)「家族みんなで行こうって言っているのに、1人だけ家にいるのはおかしいよ!」


(子ども)「ママ、そのブラウス、ヘンだよ。なんとかならない?」

この返し方はNG!
(親)「人の服装をそんなふうに言うのってよくないよ!」


では、どう返すのが正解?