算数が良くできる人に対して、「あの人は数学的なセンスがある」と言ったりします。算数ができる人、できない人にはどんな違いがあるのでしょうか。前回に引き続き、数理学習研究所で小学生から高校生までの算数・数学指導に当たっている小田敏弘さんに話を聞きました。小田さんは、幼い頃から算数・数学が得意で、小学校時代には算数オリンピックに2大会連続で決勝大会に進出。間違いなく「算数ができる人」です。その小田さんから見た「算数ができる」とはどういうことなのでしょうか?

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 中学受験からの撤退 挫折感を持たせない方法は?
(2) 受験算数、くじけないのは深く考える習慣がある子
(3) 「算数の庭」を豊かに育てることで学びが深まる ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4種類のカテゴリー別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

泥臭いやり方でもまずはやってみること

 小田さんは、「センスがあるといわれている人も、実際には、壁にぶち当たったりしている」と話します。

 「彼らに共通しているのは、物事を深く考え、学ぶということです。習ったことに対して、条件を変えてみたらどうなるだろうということを考え、実際にやったりしています。あれこれたくさんの問題をやるだけでなく、一つの問題にじっくり取り組む時間を確保することもとても大切です。今は、子どもも親も忙しく、算数についても、効率の良い解き方でさっと解けるのが算数ができること、というふうに思いがちです。しかし本当に算数ができる子は、泥臭いやり方でも、面倒臭がらずにやってみるという特徴があります。泥臭くても自分のやり方で解くことに意味があるのです。それを何度もやっているうちに、もっと洗練された方法があることに気づくでしょう」

 親は先回りして、「こういう公式を使えばいいでしょう」と言いたくなるものです。しかし、「ぜひ、子どもが自分で気づくまで待ってあげてほしいと思います」

 塾では、泥臭い方法は教えずに、スマートな解き方や公式をサッと教えてくれます。小田さんによると、それを活用するのも決して、悪い方法ではないのだそう。「大切なのは、子どもが自分の中にある『数学の庭』をどうやって豊かに育てていくかです