子どもが夜なかなか寝付けず、朝はスッキリ起きなくて悩んでいませんか? そもそも日本の子どもは睡眠時間が短い傾向があるようです。日本体育大学教授で、NGO団体「子どものからだと心・連絡会議」議長を務める野井真吾さんに、子どもの睡眠リズムを整えるコツを聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 勉強、運動…よく寝るとパフォーマンスが上がる ←今回はココ
(2) いじめは心配 でもスマホを親が勝手に見るのはNG
(3) 親への厳しい態度や言葉は子育て成功の証し、その理由は

子どもの睡眠時間が減っている

 夕方から塾へ行き、夜遅く帰宅して、宿題や軽食のあとに就寝。寝付きが悪く、朝はなかなか起きられず、やっと起きたと思ったらぼーっとしている。学校では授業中に生あくび。放課後はゲームをしたりマンガを読んだりして、外遊びができる日は週に1日くらい。これは都内のある小学校高学年の子どもの生活リズムです。

 日本体育大学教授の野井真吾さんは自身が編集委員長を務める「子どものからだと心白書」で毎年、子どもの体についての基本統計をまとめています。2020年度版で紹介された小学生の睡眠時間は、女子が8時間35分、男子が8時間43分でした(日本学校保健会『平成30年度・令和元年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書』より)。これはNational Sleep Foundation(米国)が発表した、学童期(6~13歳)の望ましい睡眠時間9~11時間を下回っています。

 国内の年次推移を見ても、1981年と2018年では小学5・6年では、男子16分、女子21分、睡眠時間が短くなっています(「子どものからだと心白書」より)。「その他のデータを見ても、日本の子どもは世界の中でも極端に睡眠時間が短いことが分かっています。理由としては夜型の生活の浸透やスクリーンタイムの増加が考えられます。親御さんは子どもたちがどうしたら睡眠時間を確保できるか考えていく必要があるでしょう」と野井さんは注意を促します。

 高学年の子どもは、ゲームやスマホなどしたいことが多く、「早く寝なさい」と言うだけでは素直に寝ないかもしれません。また、親は子どものパフォーマンスを上げるために、お金や時間をかけて、塾へ行かせたり、スポーツの練習をさせたりすることを考えます。

 しかし、ここにバスケット選手が睡眠を増やしたところ、パフォーマンスが上がったという研究があります。「ここから何が読み取れるでしょうか。ぜひ、次ページで詳しく紹介するこの研究結果をお子さんに伝えて、しっかりと寝ることでどんな変化が得られるか、親子で考えてみてください。睡眠をしっかり取るだけならお金も労力もかかりません。子どもは自分にメリットがあると納得すれば、睡眠時間の確保を意識するようになります

 しっかり寝たらいいことがある……。子どもにそう言いたいものの「しっかり寝る」ためには、具体的にどのようにしたらよいのでしょうか。野井さんは「宵っ張りになったり、朝起きられない子どもに、現代生活で意識させたいのは、気合・太陽・外活動の3つです」と話します。それぞれについて次ページから詳しく聞いていきましょう。

■次ページから読める内容 睡眠リズムを整える3つのキーワード
・【気合】「○○○○○○○○○」と宣言する
・【太陽】昼は○○○○、○○○○○○○する
・【外活動】セロトニン分泌のために○○○○○○○○