高学年になっても宿題をリビングでしている。受験勉強でテーブルを占領するので困る。でも、リビング学習がいいと聞くのでそのままにしておいたほうがいいの? 高学年の子がいる家庭からは、こんな声が増えてきます。そこで、前回に続き、子どもの発達と家作りの研究に携わっている積水ハウスの河崎由美子さんに、高学年の子どもの学習環境の作り方についてお聞きしました。記事の後半では、難関中学に合格した子がどのような環境を好んでいたかを調査した専門家のお話を紹介します。

【年齢別特集 高学年のママ・パパ向け】
(1) 反抗期こそ役に立つ 共働き親子のリビング活用法
(2) 頭のいい子はリビングで育つ 受験に向けた環境作り ←今回はココ
(3) 「夢追い型」で大丈夫?ホントに役立つキャリア教育
(4) AI時代の子どもたちに夢の見方をどう教える?

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

7割の子がリビングで学習している

 せっかく子ども部屋があるのにリビングでごろごろしてばかり。
 宿題も塾の勉強もいつもリビング。だから子どものものでごちゃごちゃ。

 子どもが高学年になってもこんな状態が続いていませんか?

 でもご心配なく。それこそ子どもの発達に沿った現象です。積水ハウスで長年“子どもの居どころ”の研究に携わっている河崎由美子さんによると、住まいにおける子どもの居所で子ども部屋とリビングの割合が逆転するのはなんと、高校生になってからなのだそう。つまり、中学生までは「リビングでゴロゴロ」は当たり前なのですね(積水ハウス総合住宅研究所/京都女子大学 片山研究室「住まいにおける子どもの居どころ調査」2007年より)。

 同じく積水ハウスの調査によると、71.2%の子どもがリビングで学習しています。一方、子ども部屋で学習する子も67.4%と決して少なくはありません(積水ハウス総合住宅研究所/京都女子大学 片山研究室「住まいにおける子どもの居どころ調査」2007年より。

 子どもがリビングで学習すると、親は目が行き届き、子どももさみしくない、分からないことをすぐに尋ねられるなどのメリットがある反面、学習道具やプリントが散らかったり、テーブルを長時間占有したり、消しゴムのカスが落ちて部屋が汚れるということもあります。河崎さんによると、そういった理由から、子ども部屋で勉強するように言う親もいるのだそう。

 一方、そういったことを気にしないおおらかな親だと、子どもはリビングでも子ども部屋でも好きなところで勉強するようになります。「子どもがどこで勉強するかは、親がリビングで勉強していいと言っているかどうかによります。つまり、親のしつけの方針によって左右されていると言っていいでしょう」と河崎さん。

 「リビング学習で気を配ってあげたいのが姿勢です。実は、最新の脳科学の研究では、姿勢と脳の働きには関係があることが、大人の世界では分かっています。姿勢や机の高さによって脳の活発に働く部分が変わるのです」と河崎さんは話します。確かに短時間の会議では、立ったまま話すほうがアイデアが活発に出るといわれています。これが子どもにも当てはまるとしたら? 次ページで詳しくお聞きしていきましょう。

<次のページからの内容>
● 姿勢と脳の働きには関連がある。これを学習環境に生かすには
● 受験勉強には奥行き60㎝以上の机を。長時間座れる椅子も用意したい
● 勉強場所には1000ルクス以上の明るさを確保しよう
● 子ども部屋、リビングを行き来する切り替え式
● プリント管理は放り込むだけの引き出し式がおすすめ
● 難関中に合格した子は「安心感」を求めてリビングへ来ていた
● リビング学習することで、考える力、知識が身に付く
● 気分や勉強内容によって場所を変えるノマド式
● リビング学習 成功のコツ