子どもの好き嫌いや食の細さに悩むことの多い乳幼児期や低学年の頃に比べ、高学年になると「子どもの食」に関する心理的な負担が少なくなったという人は多いでしょう。確かに食べる量が増えたり、自分でおやつや簡単な食事を準備できるようになったりします。しかし、食べている栄養の質についてはどうでしょうか。親は子どもが何をどのくらい食べているか、把握できていますか? 高学年になり、自分で選んで食べる機会が増えていくからこそ伝えておきたい食の基本について、2人の子どものパパでもある管理栄養士の成田崇信さんに聞きました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) いつもと違う夏休み 3つの「大」で心を安定させて
(2) 「第三の空間」体験少ないと自我の危機に 家で補うこと
(3) 成長期の高学年 必要な栄養取るために知りたいこと ←今回はココ

高学年は大人と同じくらいのエネルギーが必要になる

 「高学年は大人の体へと変わっていく時期。タンパク質やカルシウムなど体をつくる栄養素がより多く必要になり、それに伴って他の栄養素もたくさん必要になります」と成田さんは話します。高学年の子どもが1日に必要な摂取量の目安は下記の通りです(主な栄養素のみ)。

・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」より。推奨量を抜粋<br> ・エネルギーは身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量<br> ・炭水化物、食物繊維は目標量
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」より。推奨量を抜粋
・エネルギーは身体活動レベルⅡの推定エネルギー必要量
・炭水化物、食物繊維は目標量

 親世代である30~49歳の推定エネルギー必要量は男性2,700kcal、女性2,050kcal(共に身体活動レベルⅡ)なので、女の子は4年生になると親より多いエネルギー量が必要になります。男の子も6年生になると、大人と100kcal(120gのおにぎり約1/2個分に相当)しか変わりません。「うちの子はこんなに食べられない」「どうやって取ったらいいのだろう」と思うかもしれません。高学年に必要な栄養をどのように取っていけばよいか、次ページから聞いていきます。