長かった夏休みもいよいよ終わりに近づいてきています。新学期の準備は万全でしょうか? 長い休みの間についつい子どもの就寝時間や起床時間が遅くなっているという家庭もあるかもしれません。このまま学校生活に突入すると、勉強に身が入らなかったり、体調を崩したりすることもあるでしょう。睡眠学などが専門で東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授の駒田陽子さんに、子どもの睡眠不足が長期的に及ぼす数々のリスクや、無理なく規則正しい生活リズムを取り戻すための方法について聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 子どもの睡眠不足がもたらす将来リスク 対策は ←今回はココ
(2) 高学年 「ネット漬け」は心配だけど全面禁止は危険
(3) 徹底解説 「新聞を読む子どもの正答率が高かった」背景

夜更かし朝寝坊の習慣は夏休みのうちに是正していくことが大切
夜更かし朝寝坊の習慣は夏休みのうちに是正していくことが大切

人は遅寝になりやすい

 夏休みも終盤。子どもたちは規則正しい生活が送れているでしょうか。「夜更かしが習慣化してしまっている」「お昼近くにならないと起きてこない」という家庭もあるかもしれません。いくら注意しても崩れた生活リズムはなかなか直りません。迫る始業式を前に、親のほうが焦っているケースも多いのではないでしょうか。

 そもそも、どうして夏休みになると生活リズムが不規則になってしまうのでしょう。駒田さんは「私たちの生体リズムは、夜型には楽に移行できるようになっているのです。なので、必ずしも朝早く起きる必要がなくなると『もうちょっと起きていてゲームをしたい』『寝るのがもったいない』といった気持ちが子どもに芽生えてきて、睡眠が後ろ倒しになってしまう傾向にあります」と解説します。

 その理由の1つには私たちの体内時計が関係しているとのこと。体内時計は地球の自転周期(24時間)よりも少し長めにできているため、意識していないと少しずつ後ろ倒しになるのだそうです。加えて、小学校高学年から中高生にかけての思春期の時期は、睡眠時間が後ろにずれるようになっていて徐々に夜型化してしまう傾向にあるのだといいます。

 学校が始まり、朝、決まった時間に起きなければいけない状況になっても、規則正しい生活リズムを取り戻すことができず、遅寝の習慣が続いてしまった場合、その分、子どもの睡眠時間が削られることになります。「長期的に見て、睡眠不足は子どもの成長に大きな悪影響を及ぼす」と駒田さんは警鐘を鳴らします。高学年の子どもが早寝早起きの習慣を取り戻し、十分な睡眠時間を確保するために、親ができることはあるのでしょうか。

この記事で読める内容
・起きる時間を無理なく2時間早めるには
・睡眠不足モデルのマウスは大人になってから社会性が低下
・「朝日を浴びて体内時計をリセット」には注意点も
・「昼夜逆転してしまっている子」対策は
・新学期が始まった直後の土日に注意