夏休みになり、普段よりも家で過ごす時間が長くなる子どもたち。フルタイムで働くママやパパが仕事をしている間、子どもが少しでも家事を手伝って戦力になってくれたら…と期待する人は多いかもしれません。帝京大学教育学部教授で、初等教育を専門とする勝田映子さんに、子どもを家事戦力にするためのコツを聞きました。上下編で紹介します。上編の今回は、子どもの成長のためにお手伝いが必要な理由についてです。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 子どものお手伝い 付箋とタイマーで習慣化を促す ←今回はココ
(2) 子が約束したお手伝いをしない 親の声かけ注意点
(3) 自然を通しての「探求」で高学年の視野を広げる
(4) 高学年の読書感想文3つのコツで「自分らしく」書く

 勝田さんは開口一番、「子どものお手伝いは社会参画の第一歩」と言います。子どものお手伝いを「家族ならやって当然」ととらえるのではなく、「チーム家族の一員」としての働きを認めて感謝することで、子どもの自己肯定感を高めることにもつながるといいます。また、お手伝いに積極的に取り組んだ子どもは、段取り良く動くことができて、気配りの利く子どもに育つといいます。お手伝いのどこに、そのような力があるのでしょうか。

子どもにお手伝いをさせることは、親の「義務」である

 小さな頃にお手伝いをしてくれた子どもも、小学校高学年になると学校の勉強や塾、習い事が優先になりがちで、お手伝いから遠ざかっているケースは多いかもしれません。

 小学校5・6年になると授業に「家庭科」が加わり、生活に必要な衣食住の基本的な知識や技術を学ぶようになります。夏休みは、子どもが学校で習ってきたことを、家庭でも実践してもらういい機会です。

 「家庭科の狙いは、子どもが一人の人間として自立し、他者と共生して生き、自分らしい生活を創造していくための力をつけることです。困っている人がいたら手助けをする、自分も誰かに支えられる『助け合う社会』を家庭からつくるための導入が、家庭で行う『お手伝い』です。大人がラクをするために子どもにさせる労働ではなく、子どもの社会参画の第一歩として、ぜひ子どもにお手伝い習慣を身に付けてもらいたいですね」

 小学校高学年は子どもたちが精神的に自立し始める時期。反抗期を迎える子どもも増えてくるでしょう。お手伝いを通して自分のやれることを表現し、それが誰かの役に立つことを実感できる場を持つことが大切なのだとか。

 「親が子どもにお手伝いをさせると聞くと、主従関係が存在するように思うかもしれません。そうではなく、共に生活するメンバーとして、子どもが将来、社会へ自信を持って巣立っていけるような力をつけることを応援することが目的です。子どもに教育を受けさせることが義務であるように、子どもにお手伝いをさせることもまた親の義務なのです」

 普段お手伝いをしていない子どもにお手伝い習慣を身に付けさせるにはどうすればいいのでしょうか。また、お手伝いをしてもらう理由を子どもにどのように伝えるのがいいのでしょう。その答えは次のページから。付箋やタイマーを使う方法など、具体的な方法やコツを紹介します。