校則撤廃、制服は着ても着なくてもいい。スマホもタブレットもPCも持ち込み自由(Wi-Fi完備)。授業中は出入り自由で自習できるフリースペースも。定期テストなし。チャイムも鳴らない――。そんな自由な校風で全国的に注目されている公立中学校があります。小田急線経堂駅から徒歩10分強の住宅街にある、東京都の世田谷区立桜丘中学校です。

2010年に赴任して一大改革を行った西郷孝彦校長先生は、「中学受験をしないと決める場合に親ができることは?」との問いに、「(塾通いがスタートする)小4が最初の選択の時期。理由は『友達が行くから塾行きたい』でもいいから、子ども自身に決めさせることが大事」と力を込めます。中学受験をするかしないかの選択をいかに考えるのか、しない場合の高学年時の過ごし方について聞きました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) プログラミング教育で子どもは劇的に変わる
(2) ICT先進校「公開授業」で見えた子どもの可能性
(3) 「授業中寝てもいい」桜丘中学の“正解のない”教育
(4) 親の成功体験を押し付けない 中学受験は本人次第  ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

西郷孝彦(さいごう・たかひこ)
世田谷区立桜丘中学校校長。神奈川県横浜市生まれ。上智大学理工学部卒業。1979年から理科と数学の教員として教壇に立ち、都立養護学校から、大田区、品川区、世田谷区で教員・副校長を歴任。2010年から現職。好きなことは、アメリカ縦横断の旅、スピーカー製作やギター演奏(校長室にエレキギターあり)。校内でギター教室を開き、中学校で唯一「全国軽音楽連盟」に加盟している。

公立中学校に通う「3つのメリット」

世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦校長
世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦校長

 公立の中学校に通うことの良い点は大きく3つあります。一つは、「地域と密着している」こと。私立中に行くと、地域に同級の友達がいなくなってしまいます。放課後は、同じ私立学校の友人と学校帰りに一緒にどこかへ行くことはできても、休日は難しい。小学校の同級生が近所にいるといっても、中学で進路が分かれてしまうとなかなか誘いにくくなります。公立に通う子は毎日学校で顔を合わせる者同士の気安さで、「今日は○○くん家に行こう!」などと、にぎやかに楽しむことができます。

 2つ目は、「高校で好きな進路を選べる」こと。中高一貫校に進学したものの、高校で公立や他の私立高校に行きたいと心境が変わった場合、継続して通いながら都立を受けることはできません。一度合格した学校を辞めるのは覚悟がいりますし、一貫校は高校の受験対策はしませんから、「公立や他の私立に行きたい」という選択を取ることが難しくなります。

 3つ目は、なんといっても「多様性が担保されている」こと。家庭の経済状態をよりどころにせず、さまざまな環境で育った子どもが集まり、共に学ぶことができる。その素晴らしさは、公立ならではです。本当にいろいろな家庭の子が通ってきています。

 以前、うちの学校に家庭の月収が4000万円あるという子どもが通っていました。年収ではなく、「月収」ですよ。進学した私立学校が合わずに桜丘中に転校してきたということでした。そして、その子の隣の席は、母子家庭の子で、母親が仕事をいくつか掛け持ちして生計を立てている家庭の子どもでした。

<次のページからの内容>

● 世の中にはいろいろな人がいるということを当たり前に認識できるようになる
● 多くの同級生の塾通いが始まる小4が親子の分岐点
● 中学受験に関する親の意識は30年前と変わっていない
● 遊び抜いた経験が、集中力の瞬発力を養う
● 保護者は学校にもっと意見を言ってほしい

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