サッカーを頑張っているお子さんをお持ちの保護者も多いでしょう。では、小学校を卒業し、中学生になったら、サッカーとどのように付き合っていくかを考えているでしょうか。『少年サッカーは9割親で決まる』『部活があぶない』等の著書があるスポーツジャーナリストの島沢優子さんにお話をじっくり伺いました。

 前回は勉強や受験との両立、中学以降の所属チームなどプレー場所の選択肢について紹介しました。今回の記事では、サッカーをしているすべての保護者の方に向けて、よくあるお悩みについてアドバイスをいただきます。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 発言が苦手でもトレーニングでプレゼン上手になれる
(2) 「発言力」を奪う親の行動 教育熱心な人ほど注意
(3) 本気のサッカー少年、勉強との両立・将来の進路
(4) 熱意、ポジション、自主練… サッカー親のQ&A ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

キーワードは「自分で決める」

 「一番大事なのは、受験との両立もサッカーをする場所も、最終的には『子どもに自分で決めさせる』こと」と強調する島沢優子さん。でも、親として心配な選択をしてしまいそうなときもあると思います。親の気持ちをどう伝えればいいでしょうか。

 「『あなたはあのチームに行きたいかもしれないけど、こういった事情があるからお母さんは賛成できないな』というふうに、親の意見を伝えるのはよいと思います。うちの息子も、私が賛成できないクラブチームに行きたいと言ったんです。『その問題は、オレが変えてみせる』なんてバカなことを言っていたのですが、実際に行ってみたら、やはり非常に苦労していました。でも、本人が自分で選んで行ったからよかったんです。もし親の意向で決めたクラブで上手くいかない場合、『お母さんが行けって言ったから』と責任転嫁するでしょう。試合に出られなかったり、コーチと合わなかったりと、何か嫌なことがあったときに、親が責任を取れるわけではありません。だから、子どもが自分で選ぶことが大事です」

 6年生で様々なチームのセレクションを受けながら、私立中の受験勉強をしたいと思っていても、塾からは「スポーツとの両立は難しいです、私立中受験をする場合、塾に専念してください」と言われるケースもあります。でも、それは「塾の言い分」だと島沢さん。

 「塾としては、塾に来てほしいですし、合格実績を高めたいから『習い事はやめましょう』と言いますよね。でも、私立中受験とサッカーチームのセレクションを両立している方は多いですよ。それは、大学受験でも同じで、高校3年の夏まで部活をして、そこから本格的に勉強をして現役合格する子もたくさんいます。もし、サッカーを長く続けたいのに、受験のために早くからサッカーをやめて、受験勉強に専念したら、『サッカーを続けている子よりも、いい学校に入らなきゃ』なんていう変なプレッシャーを感じます。ですから、抽象的ですが『そのときしかできないことをやろう』というスタンスで考えるのがいいと思います」

 「小5、小6はまだ大人ではありませんが、自分の意思はしっかり持っている年齢。本当に中学受験をしたければ、サッカーを中断して勉強に専念しようと思うかもしれませんし、両立したいと思ったら、できる範囲で頑張ればいいと思います」

 次ページからは、サッカーをしている高学年の子の保護者に向けて、よくあるお悩みへのアドバイスを紹介します!

 
<次のページからの内容>
● 「朝練をやりなさい」と言ってもやらない
● すねあての準備、雨の後の靴のケア… 子どもにやらせてる?
● チームの足を引っ張っている気がする
● 保護者のカーストができても、子育ての成功・不成功とは関係ない
● ボーっとしているわが子、大丈夫?
● サッカーから帰ってきたら何て声をかけている?