プログラミング教育を全国に先駆けて導入し、モデル校として視察・取材が絶えない東京・小金井市立前原小学校。平成29・30・31年度総務省「スマートスクール・プラットフォーム実証事業指定校」、平成31年度小金井市教育委員会「授業改善推進指定校」「ICT活用授業推進校」として、子どもたちと教員がともに試行錯誤を繰り返しながら、プログラミングを通した「新しい学び」について研究が行われています。

前原小学校で陣頭指揮をとってきた松田孝・前校長にインタビューした前回に続き、今回は前原小学校での実際の授業の様子を現場ルポしてきました。学年が上がるたびに高度なことに取り組み、高学年ではロボットやドローンを動かし、ゲームまでプログラミングで作る子どもたち。今回は4年生、5年生、6年生の取り組みをすべてご紹介します。まさに新しい「学び」の姿がそこにありました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) プログラミング教育で子どもは劇的に変わる
(2) ICT先進校「公開授業」で見えた子どもの可能性 ←今回はココ
(3) 「授業中寝てもいい」桜丘中学の“正解のない”教育
(4) 親の成功体験を押し付けない 中学受験は本人次第

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

【4年生】IchigoJam BASICでカムロボットを動かす

 今回は、前原小学校で本格的なテキストプログラミングが始まる「4~6年生の授業」の模様をご紹介します。まずは、4年生のクラスから。

 「さぁ、今から35分間。始め!」

 授業の冒頭で、本日の授業についての簡単な説明があり、それに続いて開始の合図。「わぁ!」と子どもたちが歓喜の声を上げ、それぞれのコンピューターへと一斉に向かいます。

 この授業で使われているのは「IchigoJam(イチゴジャム)」という手のひらサイズのプログラミング専用コンピューター。モニターとキーボードを接続すれば、すぐにプログラミングが始められる、いわゆる子ども向けのパソコンです。プログラミング言語は、「IchigoJam BASIC(イチゴジャムベーシック)」です。

 BASICとは、1980~90年代初頭のパソコンで一般的に使われていた、「GOTO」「IF」「FOR」などのコマンドを使う初心者向けのプログラミング言語です。

 これを使って何をするのかというと……。

<次のページからの内容>

● 【4年生】ロボットが直進したり曲がったり、さらに複雑な動きまで
● 【5年生】IchigoJamBASICでドローンを飛ばす
● 【6年生】HackforPlayでロールプレイングゲームを作る
● schoolTaktで「気づき」を共有する
● 前原小学校で使われている使用機材や言語まとめ
● 何よりも大切なことは「楽しむこと」