サッカーを頑張っているお子さんをお持ちの保護者も多いでしょう。では、小学校を卒業し、中学生になったら、サッカーとどのように付き合っていくかを考えているでしょうか。今回は、中学からの様々なサッカーの選択肢について、『少年サッカーは9割親で決まる』『部活があぶない』等の著書があり、少年サッカー保護者向け情報サイト「サカイク」で連載が人気の、スポーツジャーナリストの島沢優子さんにお話をじっくり伺いました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 発言が苦手でもトレーニングでプレゼン上手になれる
(2) 「発言力」を奪う親の行動 教育熱心な人ほど注意
(3) 本気のサッカー少年、勉強との両立・将来の進路 ←今回はココ
(4) 熱意、ポジション、自主練… サッカー親のQ&A

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

サッカーをしている子どもは、三者三様

 「子どもがサッカーをしている」と一口にいっても、その比重やスキルは様々。実際に日経DUALの読者で、お子さんがサッカーをしている保護者3人に状況を聞いてみました。

●Aさんの場合(30代・女性)
小4男子。地元のクラブチームに、年長から所属。かなり本気のチームで、市で優勝し、県の試合でも勝ち上がりました。練習は平日3日+土日ですが、他の習い事があるため、平日は週1のみ参加。ポジションがゴールキーパーで、週1でゴールキーパー専門のスクールにも通っています。小3と小4の春に、レアル・マドリード・ファンデーション・チャレンジキャンプに参加するためスペインに行きました。今後は秋から始まるセレクションを受け、フロンターレエリート、マリノススペシャル、FC東京などにも挑戦させたいです。中学以降は、部活ではなく、Jリーグのユースに入れたらと夢見ています。本人が私立中進学を希望しており、塾に通って毎日勉強をしながら、サッカー2カ所、複数の習い事というのは忙しいですが、本人のやりたいことをどんどん進めてほしいです。

●Bさんの場合(30代・女性)
小4男子。小学校の名前がついたチームで、土日の校庭を借りて練習。コーチも運営も保護者です。同じ学年だけで25人ほど所属しています。上手な子からのんびりしている子まで様々で、公式戦ではレベル別に2チーム登録。上手なほうのチームは区で準優勝し、都大会へ出場しました。わが子はのんびりチームで、友達とのサッカーをわいわい楽しんでいます。自分から家でサッカーの話をしたり、朝練をしたりはしません。中学受験予定で塾に通っていて、中学に行ってサッカーをやるかは本人の意思次第です。ただ、今回のW杯でプロのサッカーの試合に興味を持ち、親が驚いたほどだったので、サッカーについて今後どんな気持ちを持つのかは未知数です。

●Cさんの場合(40代・女性)
小5男子。クラブチームのグラウンドで、平日2回+土日祝日に練習や試合があり、クラブチームのコーチに教わっています。区で約20チーム中、6、7位くらいの順位。小5は10人くらい所属しています。小4、小5と地区トレセン(その地区内で優秀な選手を育成する制度)に選ばれましたが、トレセン内の選抜には選ばれないレベル。サッカーが強い中学に行きたいと言っており、遅ればせながら小6から塾に通うかもしれませんが、勉強が間に合わない気もします。間に合うレベルの私立中(サッカーが強いところ)を目指しつつ、難しければ地元の公立中学で部活に入るか、クラブチームに入るか…と悩んでいます。


 このように、家庭によって、お子さんのサッカーへの思いや中学からの進路については、様々。スポーツジャーナリストの島沢優子さんに、少年サッカーではどんな道を進む選択肢があるのか、また見極め方等について、じっくり伺っていきましょう。

 現在小学校高学年でサッカーをしているお子さんが、中学校に進む際にどんな選択肢があるのでしょうか。島沢優子さんは、「まず、6年生になると、Jリーグの下部組織やジュニアユースから町のクラブまで、様々な場所で“セレクション”があります」と言います。

 「サッカーを本気で頑張りたいお子さんは、学校の部活ではなく、クラブチームを目指す傾向があります。私立中受験でいろいろ調べるのと同じように、保護者が様々なセレクションの情報を集めています。中学校の部活でサッカーを続ける方もいますが、公立では顧問の先生が異動で変わりますし、今は部活自体が見直されて、厳しく指導するよりも、みんなが楽しむことを重視する傾向にあります。そのため、本気でサッカーをやりたい子は、セレクションを受けてクラブチームを目指す方が多いのでしょう。また、公立中に進んだら、自分で勉強して高校受験をすることになります。そのことを親御さんが懸念して、高校受験をしなくていいようにと私立中受験を考えるケースも少なくありません。高校受験のためにサッカーを休むことなく、続けていけるというメリットがあります」

 つまり、選択肢として多いのは、中堅校の私立中を受験させるというケース。ただし、「親が受験させる」というスタンスではなく、「子どもが受験したい」という意思を持つことが大事だと強調します。

 「親が『こうやったら子どもが楽になるのでは』と先回りするのではなく、本人が『やりたい』『頑張りたい』という道を進ませたいですね。『君がこの中学に進んだら、サッカーと勉強との両立は可能なのかな?』などとじっくりと本人に考えさせたうえで、自分で選ばせることが大事です」(島沢さん)

 サッカー漬けで小4~6のときに私立中受験の塾に通っていないお子さんもいます。また、私立中受験をしても落ちてしまう場合もあるでしょう。公立中に進んだら、勉強やサッカーはどのようになるでしょうか。

<次のページからの内容>
● サッカー推薦で高校入学は現実的?
● クラブチーム、どこにも入れないことはある?
● 遠くの難関チームか、近くの中堅チームか
● チーム選びの際に親ができるアドバイス
● クラブチーム間の移籍は可能?
● 勉強とサッカーを両立することで、段取り力や体力もつく