何かを尋ねると「忘れた」「べつにぃ」と答え、作文を書くといつも「おもしろかった」「楽しかった」の一辺倒。うちの子の語彙力、大丈夫?と心配なパパ・ママ、子どもの言葉力を奪っているのが、あなただとしたら…なんとかしたいですよね。様々なカリキュラムを通して子どもの言葉力を育てる講座「ことばキャンプ」などの活動を行っているNPO法人JAMネットワーク代表の高取しづかさんと、「ことばキャンプ」インストラクター菅澤京子さんに、子どものコミュニケーション力を伸ばすための親の心構えと、応答力をアップさせる方法を教えてもらいました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 発言が苦手でもトレーニングでプレゼン上手になれる
(2) 「発言力」を奪う親の行動 教育熱心な人ほど注意 ←今回はココ
(3) 本気のサッカー少年、勉強との両立・将来の進路
(4) 熱意、ポジション、自主練… サッカー親のQ&A

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

発言する力を奪っているのは教育熱心なあなたかも?

 子どもたちの語彙が少なく、自分の考えや感情を相手に言葉で伝える力が低下しているといわれている昨今。語彙力がないことで自分の言いたいことがうまく言えない、もし言えたとしても言葉が足りないため相手に気持ちが正しく伝わらず誤解されてしまう。そうなると「分かってもらえないから言わないほうがいい!」と口を閉ざしてしまうケースが友達との間でも、親子間でも見られるそうです。

 子どもが言おうとしたことをさえぎったり、察して先に言ってあげたりしていませんか? 親が代わりに考えて発言していると、子どもは自分から話そうという意欲を失います。

 「日本人の親は子どものことを察し過ぎる傾向があります。子どものために全部察してあげる優しいママが多いんです。寒かったら『カーディガンは?』、雨が降りそうなら『傘持った?』と子どもよりも先に考えて行動する。極端な例だと『飲み物、何にする?』と子どもが聞かれているのに親が代わって『この子はお茶が好きなので』と代弁したり。『自分はこうです』と主張する場がありません」と高取さん。

 「お母さんに任せて黙っておけばいいかなと思ってしまいます。私たち親は子どものために察し過ぎているんだ、ということを実感しないといけません。察し過ぎることで子どもが考えるチャンス、発言するチャンスを奪うことになってしまいます」

 「黙って見守ることは苦しいけれど、それも親の役目。失敗させてかすり傷を負わせることが子どもを成長させるのです。大人になって大きな失敗をするとかわいそうだけど、子どものうちに小さな失敗をさせて自分で考えて乗り越えるチャンスを与えることが大切です」

 子どもが自分で考えて、自分の言葉で気持ちを話す。子どもの自立を促すことが言葉力UPの基盤になるようです。

<次のページからの内容>
● 否定語、命令語、指示語をやめる
● まずは「早くしなさい」と言わない、と決める
● 言葉力を育てるためには「聞く耳」を育てる
● 「聞く力」を育てる「あいうえお」
● 子どもの話す力を育てる親の「良い質問」
● 家で話さない子、親が質問攻めにしていない?