近年、子どもの進学の選択肢として注目されている「海外大学」。一部の私立大学やインターナショナルスクールに限らず、公立校から海外大学に進学する学生も増えています。将来は子どもを留学させたい、子どもが海外進学を希望すればかなえてあげたい、と考えている家庭も多いでしょう。とはいえ、先立つものがなくては、子どもを海外へ送り出すことはできません。海外進学を視野に入れた場合、どれくらいお金を用意しておけばいいの? 気になるお金のギモンを、ファイナンシャルプランナーの豊田眞弓さんに聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 海外の大学への進学を視野に 留学資金はどう準備? ←今回はココ
(2) 現役留学生・田中祐太朗さんに聞く海外大進学リアル
(3) 子のレジリエンス高める ネガティブ沼からの脱出法

子どもの留学を見据えた貯蓄の仕方

 豊田さんは通常、高校までの教育費は生活費に含めて考え、大学以降の分は別途貯蓄しておくようにアドバイスをしています。留学をする場合、当然ながらこれに「プラスオン」でお金がかかります。

 「国内の私立大学に進学した場合は、学費として年間100万円から150万円が継続的に出ていきますから、自宅通学でも、大学進学のための費用としては子どもが高校3年時点で300万~500万円の貯蓄を用意しておきたいもの(自宅外は500万円以上)。それで足りない分は、大学時代に家計から捻出するか、奨学金等で補うイメージです。子どもを留学させたい、留学したいといわれたときに対応したい、という場合は、さらに留学費用を上乗せしてストックしておく、もしくは上乗せした出費を許容できるよう、世帯収入を上げる、住宅ローンを完済するなどの家計状態にしておきましょう」

 豊田さんは、「出産後、中学卒業までもらえる児童手当には手を付けずにためておくこと。誕生月によりますが、それだけで約200万円をためることができ、これが教育資金のベースになります。年収によっては特例給付5000円(年収1200万円以上は2020年10月以降廃止)だけの方もいますが、その場合は自力で貯めます。留学を意識する場合、たとえば200万円程高く設定し、500万~700万円を目標に据えて準備しておくと、留学が視野に入ってくると思います 」

 児童手当は、いつの間にか習い事や塾の費用として消えていくのが現実かもしれません。しかし、子どもが大きくなったとき、選べる道をできる限り増やしてあげたいと思うなら、「ためる部分を死守すべきです」と豊田さんは指摘します。

 「収入から必要なものを差し引いて残った額を教育費に回すのではなく、教育費を先に貯蓄に回す意識を持つことが大切です。子どもの未来の教育の可能性のために、習い事を見直して本当にやりたいことだけに絞り込むなど、『今』の費用を見直しましょう」

 ただし、200万円のストックを用意したとしても、足りないケースもあります。そもそも、留学にはどれだけお金がかかり、足りない分のお金を、貯蓄以外で賄う方法にはどのようなものがあるのでしょうか。次ページから具体的に解説します。