高学年の4割がスマホを手にしている昨今、親子間ルールを作っても、ネットのトラブルに巻き込まれるのではないか心配ですね。子どもは様々な体験を通して成長していくものですが、昨今のインターネットトラブルの事例を見ると、ことネットに関しては自分で経験しながら覚えてもらうには、リスクが大きいと思う人も多いのではないでしょうか。そこで専門家にトラブルに巻き込まれるときの子どもの心理や知っておきたい対策法についてお聞きしました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 思春期の「うるせぇ」を翻訳機にかけてみると?
(2) 週に1度のトークタイムで反抗期の本音を引き出す
(3) 高学年4割以上がスマホ所持 親子間ルールの作り方
(4) ネットの世界 子どもが自画撮り送ってしまう理由 ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

リアルとネットの世界を行き来する子どもたち

 「今の子どもたちはリアルの世界(現実)とネットの世界に生きています。リアルの世界で人間関係に気を使い、ストレスを抱えた子どもたちは、ネットの世界に逃げ込みます。そこはリアルの世界とは全く違う世界。そこで子どもたちはリアルとは違う人間関係を作っています。子どもたちはネットの世界でストレスを吐き出し、またリアルに戻ってきます」

 こう話すのは、東京成徳大学大学院心理学研究科教授の田村節子先生です。思春期の子どもたちの抱える問題をスクールカウンセラーの立場から見つめ続けている田村先生は、「子どもたちは親が思う以上に、気軽に個人情報を開示しています。子どもたちの多くは親よりもネットの危険性に慣れていません。親子でスマホに潜む危険をしっかり学ぶべきでしょう」とアドバイスします。

小学生の5%以上が自画撮りの被害に遭っている

 防犯教育などで個人情報は他人に教えてはいけないと言い聞かせているはずなのに、気軽に開示してしまう子どもたち。それはなぜなのでしょうか。

 田村先生はこのように解説します。「友達づくりアプリなどの中で、相手が先に名前や年齢、住んでいるところなどを言うと、多くの子どもは、自分の個人情報を開示してしまうのです。『SNSの中なので他の人が見られる状態だとは思わなかった』という子どもは結構多いです。大人はそのレベルからネットリテラシーを教えり必要があります。個人情報のやり取りをしてはいけないことも教えなければなりません」

 警察庁の「平成29年における子供の性被害の状況」によると、被害の種類別では、自画撮りが最多の約4割を占めています。自画撮り被害とは、脅されたりだまされたりして、18歳未満の子どもが自分の裸などを撮影させられ、SNSやメールで送らせられる被害のことです。自画撮り被害は平成24年以降、5年連続で増加しています。そのうち、約7割がスマホを使用して、SNSなどにアクセスしたことに起因。被害に遭った子どもの約8割が、面識のない相手から要求されて画像を送ってしまっています。この画像は児童ポルノ画像として出回ってしまったり、画像を元に更に脅される可能性があります。

 自画撮り被害に遭った子どもは中学生が最も多くて50.3%。高校生が41.7%で中高生が大半を占めますが、小学生も5.6%います。なぜ、彼らは自画撮り画像を送ってしまうのでしょうか。

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<次のページからの内容>
● “好意の返報性”が悪用されている
● 東京都は条例改正で自画撮り要求するだけで犯罪に
● 子どもを守るフィルタリング。確認・設定は販売者の義務に
● 大人が上手に関わって、子どものリテラシーを伸ばそう