高学年にもなると、中学受験だけでなく、普段の学校の学習においても読解力が問われる問題が増えてきます。でも、「本を読むのが苦手だから読解力が身に付かない」「どうすれば養えるのかが分からない」と、悩んでいる親子も多いのではないでしょうか。そもそも読解力とは何なのか、東京学芸大学准教授の犬塚美輪さんに聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
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 学年が上がると、国語だけでなくそれ以外の教科においても、内容が難しく、読解力が問われる問題が増えてきます。また、思考力を問うような問題も増えます。「そもそも問題文が読み解けないと、何を聞かれているかも分からない」ということもあるでしょう。

 では「読解力」とは何なのでしょうか?

 東京学芸大学准教授の犬塚美輪さんは「読解力とは『著者の世界観を頭の中に構築する』力」だと言います。

 「何か文章を読んだとき、筆者が言いたいこと、伝えたいことを自分の頭の中で再現できた状態が『分かる』です。文章を読み、文字から音、そして意味やつながりを理解し、著者の言いたいことを頭の中で再構築する力が読解力であると言えます。読解力がある人は、その再構築がスムーズにできるのですが、苦手な人は書いてあることを読み落としていたり、言葉と言葉のつながりがうまく理解できなかったりして、再構築がうまくできていない状態なのです」

 また、近年、読解力が何かと話題になるのは、「大人が読解力の重要性を痛感しているからでは」と犬塚さんは指摘します。

 「仕事の場面でも読解力が求められ、読解力のある人のほうがより高度な仕事を任される、といったケースも多いと思います。だからこそ子どもたちには本を読んで読解力を身に付けてほしいのに、スマホや動画を見ているだけで、1時間があっという間に過ぎてしまう。本を読むというのは骨の折れる作業でもあるので、ますます読まなくなる。こんなに本を読まなくて大丈夫なのか、という大人の不安が表れているように感じます」

 実際、日本の子どもの読解力は低下傾向にあり、OECD(経済協力開発機構)が2018年に行ったPISA(国際学習到達度調査)の「読解力」では、前回の8位から15位と大きく順位を下げています。

 子どもに読解力を付けさせたくても、「読書が嫌い、読むのが苦手でどうしたらいいか分からない」「親が教えようとしても難しい」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

 ですが、「ポイントを押さえれば家庭でも読解力を育むことはできる」そうです。また、「文章の意味を正確に理解する」こと以外にも大切な読解力もあるそう。これからの時代を生きる子どもたちに必要な「3つの読解力」とは何でしょうか。また、それぞれの読解力を育む方法とは? 詳しく見ていきましょう。

詳しくチェック!
・本が苦手な子にひたすら読ませても、読解力は身に付かない
・「文章の意味を正確に理解する」こと以外にも大切な読解力がある。これからの時代を生きる子どもに必要な「3つの読解力」とは
・小学生時代に蓄積した幅広い体験が、高度な読解力の下地に