習い事や塾通いなどで、一人で行動することが増えてくる高学年の子どもたち。安全の確認や親との連絡のためにスマホを持たせる家庭も増えているようです。でも、子どもがちゃんと使えるかどうかが気になります。

 そこで、NTTドコモ モバイル社会研究所の企画担当部長・鈴木孝幸樹さんに、小学生のスマホ事情や親子間ルールの設定方法についてお聞きしました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 思春期の「うるせぇ」を翻訳機にかけてみると?
(2) 週に1度のトークタイムで反抗期の本音を引き出す
(3) 高学年4割以上がスマホ所持 親子間ルールの作り方 ←今回はココ
(4) ネットの世界 子どもが自画撮り送ってしまう理由

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

初めてのスマホには親が寄り添ってあげたほうがいい

 モバイル社会研究所は自由で独立した立場から、携帯電話のもたらす光と影の両面を解明するために設立されました。2010年からは子どもやシニアのICT利活用、スマホのリスクやマナーの実態、防災や減災、交通に関わる調査・研究を行っています。

 同研究所・企画担当部長の鈴木孝幸樹さんはご自身も2人の男の子を育てるデュアラー。長男が中1のときにスマートフォンを持たせた際には、親子間ルールやSNSの活用法をどのように教えるか父親として模索した経験もあると言います。まずは、現在の小学生のスマホの利用率をお聞きしました。

 「モバイル社会研究所が2017年10月に関東1都6県で調査した結果によると、スマホの利用率は小学校低学年で25~30%台。小学生高学年ではぐっと増えて4割以上の子どもがスマホを使っています。スマホ・ケータイを持たせた理由を親に聞いたところ、『緊急時に連絡が取れるように』と答えています。中学受験が終わるとスマホを買ってもらい、卒業式でLINEを交換し合うということが恒例になっているようですね。中学1年になるとスマホの利用率は7割以上に増え、この時の理由としては『友達と連絡を取るため』が増えてきます。部活の連絡等も最近はSNSを利用しているからでしょう」

図版作成・提供/モバイル社会研究所
図版作成・提供/モバイル社会研究所

 小学生高学年になると4割の子どもが利用しているスマホ。動画を見たり、ゲームをしたり、SNSを介して色々な人とつながることができて便利な一方、子どもに持たせるには心配な要素もたくさんあります。

 モバイル社会研究所で「子どものICT機器利用で期待する効果」について聞いたところ、「情報機器の使いこなし」や「知識の幅の広がり」を期待する保護者が約7割に上った一方、コミュニケーションに関する心配事もあることが分かりました。

図版作成・提供/モバイル社会研究所
図版作成・提供/モバイル社会研究所

 「投稿内容が原因で友達とトラブルになったり、子ども自身の個人情報が公開されてしまったり、不適切な出会い系サイトを閲覧するのではないかと言う心配があるようです。また、子どもの交友関係を把握できなくなるのが不安という人も多くいます」と鈴木さんは保護者が心配するトラブルについて解説します。

 鈴木さんによると、トラブルなくスマホを使えるようになるためには、購入の際に「親子間ルール」を決めて、買った後もしばらくは親が使い方を教えてあげることが大切なのだそう。

 「小さいころ、初めての公園遊びや自転車の練習には親が関わったでしょう。初めてのスマホもそれと同じです。練習をしないでいきなりネットの世界に入るのは危険がいっぱい。自分としては悪気がないのに、言葉足らずなメールを送って友達とトラブルになることもあります。そんなことを回避するためにも、親が子どものコミュニケーションの様子を見守ってあげるとよいのではないでしょうか」

 「既読無視でトラブルになることも多いので、メッセージが届いてもほったらかしにしているときは『返信しなくていいのか』と聞いてあげるといいですね。子どもから『メッセージが届いたのだけど、どうしたらいいの』と聞かれたら、『こんな言い回しで返信すると、気持ちが伝わりやすいよ。こういう言い方は誤解されやすいよ』と教えてあげましょう」

<次のページからの内容>
● 使う場所、時間、相手は必ずルール化する
● 親子間ルールはスマホを買ったときに設定する
● 子どもが相談しやすい親子関係を作っておくことが大切
● 親子間ルールを作ってみよう