いよいよ思春期の入り口に立つ小学校高学年。ついこの間まで「ママ! パパ! あのね」と何でも話してくれたわが子は、最近は黙り込んでいて、何を考えているのかわからない、と不安に思っている人も多いのではないでしょうか。思春期の子どもの心の中やクラスではどんなことが起こっているのでしょう。スクールカウンセラーとして多くの親子と向き合ってきた、東京成徳大学大学院心理学研究科教授の田村節子先生にお聞きしました。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 思春期の「うるせぇ」を翻訳機にかけてみると? ←今回はココ
(2) 週に1度のトークタイムで反抗期の本音を引き出す
(3) 高学年4割以上がスマホ所持 親子間ルールの作り方
(4) ネットの世界 子どもが自画撮り送ってしまう理由

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

思春期の子どもは自立に向かい始める

 小学校高学年になると、子どもは色々なことを自分で考えて、決定し、実行できるようになります。「私は親とは違う人間だ。もう親の助けがなくても自分でできる」、そう考えて、親から自立しようとし始めます。同時に第二次性徴としての体の変化が始まり、子どもは友達と自分を比べて不安を感じたり、異性を意識して見た目を気にするようになります。これが思春期の始まり。子どもの変化に合わせて、親も子どもに対する見方を変えていくことが必要となる時期です。

 思春期は、女の子だと早い子の場合は小学校4年生から始まります。5~6年生の女の子に接するときは、中学生と話すくらいの意識でいたほうが良いくらいです。一方、男の子は思春期のスタートが女の子よりも2年ほど遅く、多くの子が中学生になってから思春期の入り口に立ちます。

一人は不安。だから友達とつるんでグループができる

 3~4年生くらいまでの子どもたちは、仲のいい友達はいても、他の子とも遊んでいたはずです。しかし、思春期に入ると急に特定の友達との距離がぐっと近くなり、友達同士でくっついて輪を作るようになります。冒頭でお話ししたように、思春期というのは親から自立していく時期です。でも、実際には子どもたちも一人で自立に向かうのは不安です。そこで、友達とがっちりくっついて、自立に向かっていくのです

 そのときに親が気軽に「最近〇〇ちゃんと仲がいいみたいね」「どんな話をしているの?」「ママは△△ちゃんと遊んでほしいわ」などと話しかけると、子どもは親が自分の心に入ってくるような気がします。

 そこで出てくるのがこの言葉です。

「うるせぇ、くそばばぁ、黙ってろ」

 「うちの子に限って」と思っていた親はびっくりするかもしれませんね。でも、心配ありません。この言葉を翻訳機にかけると、どんな意味になると思いますか?

<次のページからの内容>
● 「うるせぇ、くそばばぁ」は子育て順調の証!?
● がっちりくっつき合うことで、友達付き合いの問題が起こる
● “忖度”できない子は悪口を言われいじめの対象に
● 見た目の距離と心の距離は一致しない
● 思春期に増える「恋愛がらみ」のトラブル
● 子どものストレスのはけ口は?
● 存在を全否定する無視といういじめ
● 怒りを吐き出し、対処するプロセスを家庭で見せよう
● 思春期は「自分ができてくる時期」でもある
● 子どもたちに、無条件の愛情を