小学生の症例が報告されるなど、低年齢化が進んでいる摂食障害。摂食障害になると、体重や体型、食事に強いこだわりをもちます。それは多くの女性が口にするような「太りたくない。やせたい」といった思いよりはるかに強く、一日中食事や体重のことが頭から離れなくなり、いつもどんなときもやせることばかり考えるようになります。摂食障害の基礎知識について紹介した前回に続いて今回は、摂食障害の理解と対応にも役立つ「思春期の心と親の関わり」について、初台クリニックの関谷秀子さんが解説します。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 低年齢化する摂食障害 思春期の「やせ願望」に注意
(2) 「親が作った料理を毎回残す」背景に親離れ子離れ問題 ←今回はココ
(3) 勉強嫌いのわが子、やる気のスイッチをオンにするには?

「足太いね」の一言がきっかけに

 摂食障害の患者さんは、一日に何度も体重を量っては一喜一憂します。「やせること」が人生での最重要課題で、他のことはすべて後回しになるのです。

 中学2年生の女子のケースですが、クリニックに来院したA子さんは友達から「足、太いね」と言われたことをきっかけに、極端なダイエットをするようになりました。その日からカロリーゼロのゼリーとサラダしか口にしなくなり、移動のときにはバスや電車を使わずに歩き、毎朝マラソンをしてから学校に行くようになりました。半年後には体重は10㎏以上減り、月経も止まってしまいました。

 このケースでは、友だちの「不用意な一言」が引き金となっていますが、親が子どもの体形を「太ってるね」などと揶揄したことがきっかけになる場合もあります。思春期の心は繊細で自分の容姿を気にするので、親は余計な一言は慎んだほうがいいでしょう。

 さてここからが重要です。多感な思春期であっても、大人への道をそれなりに進めていれば、このような言葉を投げかけられても、傷つくことはあれ、ここまで影響されることはないと思われます。

 例えば「足太いね」と言ってきた友人に「あなただってそうでしょ」と返せたかもしれませんし、「太くて何が悪いのよ~」と笑い飛ばせたかもしれません。それができずに自分の健康を害するほどの度を超えたダイエットをしてしまうというのは、どういうことなのでしょうか。