わが子には将来やりがいのある仕事を持ち、公私ともに充実した幸せな日々を過ごしてほしい。親であれば誰もがそれを願うことでしょう。そんな明るい未来につなげるために、親子での「夢マップ」作りを習慣にしてみてはいかがでしょうか。共働き家庭の強みを生かせる「夢マップ」の作り方を、法政大学キャリアデザイン学部の児美川孝一郎教授に教えてもらいました。

【年齢別特集 小学校高学年ママ・パパ向け】
(1) スポーツ&勉強頑張る小学生おすすめヨガ 動画も!
(2) 動画付き 現代っ子の背骨や腰を強くするヨガ5選
(3) 子の将来の夢・職業どう応援する?親の姿勢と考え方
(4) 共働きの強みが生かせる 親子で作る「夢マップ」 ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

高校時代の夢を叶えた人はたったの10%

 「高校生の時に描いていた夢をかなえている人は、たったの15%ほど、そのうち5%が離職しているので、実際には10%ほどしか夢に到達していません」。法政大学キャリアデザイン学部の児美川孝一郎教授はこう話します。

 夢を持てども、それを結果につなげるのは難しく、ミスマッチも多く起きているようです。

 「そもそも夢をちゃんと持ち、それをきちんとした道筋で目指すことができていないからこういうことが起きてしまうんです。たとえば、何のために大学に行くのかもわからないまま、18歳の時点で無理やり学部を選ぶという学生も多いのが現状です」(児美川さん)

 大学入学が目標になっていて、目指す大学に入学できたとしても、その後、自身がどう歩めばいいかわからない。そのまま就職活動の時期がやってきて、流されるように「大手」や「優良」と呼ばれる企業に入社するも、やはり人生の目的が分からず、やりがいや幸福感を感じられない――。そんな悲しい結果を招かないために、今、小学生に対する「キャリア教育」に注目が集まっています。

 両親とも仕事を持つ共働き世帯であれば、キャリアについて時間をかけてしっかり考えることの重要性は骨身にしみてわかっていることでしょう。「学校任せにするだけでなく、家庭でもできることがあれば、ぜひ取り組みたい」と考える人は少なくないはずです。

 そこで、家庭ではどんなことを取り組むべきか、児美川さんにアドバイスをもらいました。

 「これからの時代、『医師になりたい』『弁護士になりたい』など、特定の職業にターゲットを定めるような目標の立て方では通用しなくなっていきます。今後どんな仕事がなくなり、どのような新しい仕事が登場するか分からないからです。今やるべきは、『自分がどんなことに関心を持ち、何を大切にしているのかを明確にする』ことと、『世の中にはどんな種類の職業があるのかを幅広く知り、選択肢を広げる』こと。そうした方向に親が子どもをサポートしてあげることをおすすめします」(児美川さん)

 有効なのが、「夢マップ」を作ること。「親子で夢について語る時間を設け、その都度、『夢マップ』として書いて視覚化することを心がけていくと、将来の職業に対する子どもの意識が変わり、感度がどんどん高まっていくはずです」と児美川さんは言います。次ページから、児美川さんがすすめる、3種類の夢マップの作り方を紹介します。

<次のページからの内容>

● ノートより大判の紙に書くのがいい理由とは?
● 「夢ノート」作りのために、普段から用意しておきたいもの
● いつやる?頻度は? タイミングの見極めは親にしかできない大事な役割
● 作りたいのは3種のマップ それぞれの目的と作り方を伝授
● 作成中に親が決して言ってはいけない一言とは?