中学は地元の公立に進むか、それとも中学受験をして中高一貫校にいくか。子どもの進路を考えたときに悩むことがあるかもしれません。中学受験にもいろいろなパターンがありますが、大分県で公立の小中高から塾に行かずに、2012年に米ハーバード大学に現役合格、卒業したバイオリニストの廣津留(ひろつる)すみれさんの母、真理さんは「御三家を狙うような中学受験は不平等な戦いであり、無理してまで挑む必要はない」と語ります。その理由とともに、廣津留さんがすみれさんに実践してきた家庭教育について聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 【前編】「らしさ」の強要が子どもの自己肯定感をくじく
(2) 【後編】子の容姿コンプレックス受け入れ美の幅を広げるには
(3) ハーバード現役合格した娘の母が公立主義貫いた理由 ←今回はココ

米国ではペーパーテストの比重が下がっている

 大分県でオンライン英語教室を営む廣津留(ひろつる)真理さんの一人娘のすみれさんは、公立の小中高から塾に行かずに、2012年に米ハーバード大学に現役合格し、2016年に卒業。その後は世界最高峰のジュリアード音楽院に進学し、卒業後はプロのバイオリニストや大学の客員講師として活躍しています。廣津留さんは、すみれさんの家庭学習の経験を基に独自の英語学習メソッドを構築。代表を務めるディリーゴ英語教室は、ハーバードや米イエール大学などの海外名門大学や東京大学などに多数の合格者を出しています。毎年夏に、現役ハーバード大生を講師として招いて実施する(現在はオンライン)サマースクールも人気だといいます。

 毎年多くのハーバード生を見続けてきた廣津留さんは、「彼らはみな、親から、社会に影響を与える(Make an impact)人材になるように育てられてきた」と指摘します。廣津留さん自身もすみれさんを「グローバル時代に世界に貢献できる子どもを育てる」というミッションのもと、バイオリン教室以外はほとんど教育の「外注」をせず、家庭学習に力を入れてきました。世界中が大きな転換期に差し掛かり、これまで以上にグローバルな視座に立った教育が必要とされる中で、忙しい親が子どもにしてあげられることは何でしょうか。

画像はイメージ
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日経xwoman DUAL(以下、――) 首都圏では中学受験をする人の割合が高く、高学年にもなると受験塾に通う子どもの数がぐっと増えます。しかし、廣津留さんの娘のすみれさんは、高校まで公立に通いました。中学受験という選択肢はなかったのでしょうか。

廣津留真理さん(以下、廣津留) 大分と東京では事情が違うでしょうが、受験といえば、大学受験以外は念頭にありませんでした。わが家ではペーパーテストに重きを置いていません。ペーパーテストの上位を占めるのは、Socio-economic Status(SES)が高い家庭の子だという研究結果(5ページ目文末で紹介)があり、米国では比重を下げる方向にシフトしていることからです。SESは社会経済的地位と訳され、親の教育、収入、人脈や権力の程度を表す指標です。

 教養ある家庭が資金を投じて、塾で何度も筆記試験の練習をさせれば子どものテストの点は上がる、という社会実験の結果がすでに出ているのです。これ以上筆記試験を続ける必要がないため、米国の名門大学では入試にSAT(基礎学力を測るペーパーテスト)を使わなくなってきています。一方、日本の受験は中学受験以降、いまだにほぼペーパーテストで合否が決まるため、SESの影響が非常に大きいのです。ごく一般的な家庭が御三家を狙うというのは、SES上位層を相手にした、非常に不利な勝負に挑んでいると言える、ということです。

次ページから読める内容

  • 不利になる中学受験ならやめたほうがいい
  • 塾の戦略に踊らされている面がある
  • 長期・中期・短期とゴールを細分化
  • 英語ができなければ、高学歴でも活躍の範囲は限定される
  • 小学生の頃から大学入試センター試験の過去問を読ませた
  • 「働いている親」のリソースをもっと生かすべき

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