子どもたちは高学年くらいになると自分や友達の容姿を気にし始めます。自分の顔立ちや体形に自信を失ったり、人の外見に言及したりすることを親はどう受け止めたらよいのでしょうか。そこで、ルッキズムをめぐる女性の経験について研究している和歌山大学准教授の西倉実季さんと、主に美容のフィールドで活動してきたライターの長田杏奈さんが対談。子どもがルッキズムの影響を受けてしまう背景について語り合った前編に続き、後編の本記事では、2人の対談をもとに、子どもにルッキズムの価値観を持たせないために家庭でできる7つのポイントをまとめました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 【前編】「らしさ」の強要が子どもの自己肯定感をくじく
(2) 【後編】子の容姿コンプレックス受け入れ美の幅を広げるには ←今回はココ
(3) ハーバード現役合格した娘の母が公立主義貫いた理由

ルッキズムを持ち始めた子どもにはどんな働きかけをしたらいい?

 最近ルッキズムという言葉を耳にすることが多くなりました。なんとなく使っているけれど、正確な意味は知らないという人もいるでしょう。西倉実季さんによるとルッキズムとは「外見に基づく差別、外見を理由にした差別」のこと。外見が魅力的と見なされた人が優遇を受け、そうでない人が不利益を被る現象を指します。オリンピック開会式の演出として、女性タレントの容姿を取り上げる案があったことが問題になったのをきっかけに、今、ルッキズムへの意識が高まっているようです。

 ルッキズムは大人だけの問題ではありません。前編では、子どもたちが育つ過程で、大人の発言やテレビなどからルッキズムの影響を受けてしまうことを西倉さん、長田さんが指摘しました。特に影響が大きいのが、周囲の大人からの否定的な言葉です。子どもの頃に自分の外見を否定された経験は大人になってもその人の自尊心に影響します。「どうせ私なんて」と萎縮して本来の能力を発揮できないこともあるそうです。

 わが子にルッキズムの影響を受けさせないために、家庭ではどのようなことができるのでしょうか。この質問に西倉さんと長田杏奈さんからは、まず「親からの『めんこい』を浴びせてルッキズムへのバリアをつくってあげて」という、ユニークなアドバイスが飛び出しました。「めんこい=かわいい」はルッキズムを生む言葉なのでは? 「バリア」とはどのようなことなのでしょうか。

 続いて2人からは、「ほめ方のガイドラインを更新する」「メイクアップとダイエットは別々に捉えたほうがよい」といった提案も。親子で話し合うべき内容や「美の範囲」を広く捉えるための方法も紹介してくれました。下記の7つのアドバイスを次ページから詳しく説明していきます。一度に全部実施するのは難しいかもしれませんが、ぜひ、少しずつ取り入れてみてください。

【子にルッキズムを持たせないために家庭でできる7つのこと】

1 親からの「めんこい」を浴びせてルッキズムに対するバリアをつくる

2 親の「ほめ方のガイドライン」を更新する

3 メイクは自己表現。なりたい自分を目指す気持ちは否定しない

4 ●●について言及しない。ダイエットは食事制限に頼らない方法を模索する

5 友達と信頼関係を深める時には外見よりも●●●●●●●などのほうが重要と伝える

6 「美しさ」の基準は時代や国によって大きく異なることを教え、●●●●●●に触れる機会をつくる

7 外見で人を判断する発言があったら、「●●●●●●●●●」と指摘し、話し合う