子どもが小学校高学年にもなると、親は「いちいち言わなくても、自分のことは自分でやれるようになってほしい」と思ってしまうもの。でも、目の前の子どもを見ていると、そんなことをできるようには見えない……。果たして、勉強や習い事、その他もろもろを自分ですべて管理し、スケジュールを立てて、その通りに生活する、そんな子どもに育てることは可能なのでしょうか?

前回は、中学受験専門のプロ講師で日経DUALの書籍『中学受験 基本のキ』の共著者でもある小川大介さんに、自立した子どもに育てるための考え方やコツなどについてお聞きしました。今回は、実際にスケジュールを立てる手順や、その際の注意点などについて、より具体的にご紹介します。

【年齢別特集 小学校高学年ママ・パパ向け】
(1) 子どもを“家事戦力化”することで育む、気付く力
(2) 家事の報酬は必要? 子どもに任せるコツと声掛け
(3) 子どもが自立して学び、生活するスケジューリング術
(4) 中学受験や人生に役立つ予定の立て方・過ごし方 ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

まずはやりたいこと、やるべきことのリストを作る

 受験でも仕事でも、やるべきことを整理し、予定を立てていくのはまさに「基本のキ」です。正しいスケジューリング能力を身に付けることは、中学受験に臨む時期は当然のことながら、それ以降の人生にも大きく役立つことは間違いありません。今回は、スケジューリングの立て方とその後の過ごし方について詳しくご説明します。

 スケジュールを立てるというと、大人は手帳に書き入れたり、きちんと表組みをしたりといったことを思い浮かべます。でも、子どもにはそれは必要ありません。枠を作ると、その中にはめようとして「何をやりたいか」が後回しになってしまうからです。

 紙が小さいと発想も縮こまってしまうので、まずはいつも学校で使っているような大きさで白紙か方眼のノートを用意してあげてください。

 スケジュール作りは、以下の手順で行います。

STEP1 リストを作る

 まず、遊びでも勉強でも、「今日はこれをやりたい!」ということがあるかどうかを確認しましょう。細かいところまでは必要ないので、「水曜日は社会の調べ学習をやる日」など、曜日ごとに「何をしたい日」か、言えるかどうかを聞いてみてください。「何したらいいの?」と言う子には、「一つでいいから挙げてみようか」と促してあげましょう。

 そして、子どもが挙げたやりたいことと、やるべきことを箇条書きで書き出します。例えば、ゲームをしたい、テレビやDVDを観たい、友達と遊びたいなどは「やりたいこと」。宿題をする、習い事や塾に行く、歯医者さんに通院するなどは「やるべきこと」です。この段階では順序は気にせず、アトランダムに挙げられるだけ挙げてみてください

 一人でやりたいタイプの子には書き出すのも任せていいと思いますが、あちこちに気を取られるタイプの子なら、子どもに口頭で挙げさせて、書いてまとめるのは親が手伝ってもOKです。

STEP2 優先順位をつける

 STEP1で書き出したリストの中で、絶対にやりたいこと、必ずやるべきことに「◎」などの印をつけ、「いつやるか」を項目の横に書いていきます。

 「どのくらい時間がかかるかな?」「何曜日にやるの?」などと声掛けをしながら進めていきましょう。

STEP3 修正する

 STEP2で印をつけて時間や曜日を書き出した予定を、曜日ごとのタイムテーブルに当てはめていきます。

 すると、曜日や時間が重なっていたり、スカスカの曜日と詰まり過ぎの曜日があったりするので、本人の意見を確認しながら修正していきます。

 この際、どうしても気を付けてもらいたいことがあります。

<次のページからの内容>

● スケジュール作りの際の注意点。実行したら振り返りを
● 今日できなかったことは翌日に繰り越さない
● 小川先生の息子さんの1週間の予定表を公開!
● 週末の予定の立て方
● スケジュールを守れなくても注意はしない
● 朝の時間を有効に使うためには
● スケジューリングを長続きさせるコツ
● 親が自分に自信を持つことが子どもの自立につながる