小学校高学年になると、「親友」の存在について悩む子どもが増えてきます。「親友だと思って仲良くしなきゃ」と重荷に感じたり、逆に「自分には親友がいない」と悩んだり。思春期に入りかけたわが子の「親友」問題。親としてどのように対応していったらよいのでしょうか。30年以上の小学校教諭経験があり、現在は「親塾」を各地で開催し、『学校と一緒に安心して子どもを育てる本』(小学館)等の著書がある、教育アドバイザー、元追手門学院小学校講師の多賀一郎さんにアドバイスをいただきました。前編は「親友だと思っていたら重荷になってきた」と悩むケースです。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 学級崩壊の可能性を察知したら、親はどうすれば?
(2) 「親友」が重荷だというわが子に、どうアドバイス?  ←今回はココ
(3) 親友がつくれない、様子がおかしい 親の対応の正解は

 「私たちは親友だよね」「親友だからこの話は秘密ね」。仲良しでいられるときはよいですが、だんだんその関係が息苦しくなってきて、遊びの誘いを断れなくなったり、別の子と遊べなくなったり、制約がきつくなってきたりと、窮屈になってくる場合は、どのように対処したらよいのでしょうか。

 「実はその関係は、『親友』ではなく、『親友もどき』だったのだと思いますよ」と多賀さんはズバリ指摘します。

 「『その友達からの誘いを断れない、他の子と遊べない』と強く感じた段階で、もはや親友関係ではないでしょう。なぜなら、本当の親友だったらそんな窮屈な思いはしないはずだからです」

互いに重荷に感じるような関係は、親友ではなく「親友もどき」かも。そう考えれば、子どもの悩みに親がどう関与すべきかが見えてくる(写真はイメージ)
互いに重荷に感じるような関係は、親友ではなく「親友もどき」かも。そう考えれば、子どもの悩みに親がどう関与すべきかが見えてくる(写真はイメージ)

高学年の「親友」関係は疑似恋愛のようなもの

 「そもそも、本当の『親友』は、そう簡単にはできないはず。私たち大人でも、これまで親友だと思った人は10人も20人もいませんよね。

 小学校高学年になると、特定の友達を親友と考える子どもが増えますが、本来、親友というのは、人生において、そうたくさんできるものではありません。いろいろな浮き沈みを助け合って乗り越え、20年たってもそう言っていたら、はじめて親友といえるのだと思います」

 小学校高学年になると、「親友」への意識が強くなるあまり、トラブルが生じることも。トラブルにつながる理由は、「この時期の『親友』は、疑似恋愛のようなものだと考えると分かりやすいです」と多賀先生はアドバイスします。 

次のページから読める内容:
■親友が重荷と悩むわが子に、多賀さんが「親が口出しする余地はない」という理由は?
■親友が離れていってしまって悲しむ子どもを、どう支えればいい?
■親友からの連絡が頻繁で、中学受験に身が入らない子どもにかける言葉は?
■子どもは「親友」だと思い込んでいても、上下関係ができている場合は「まず見守る」
ほか