ロシアによるウクライナ侵攻、電力需給逼迫など、緊急に対応すべき社会課題が次々に浮き彫りになってきています。わが子には、そうした出来事を、単なる情報としてインプットするのではなく、自分事としてしっかり受け止め、自分自身の考えや意見を持てる子になってほしいと思う親は少なくないかもしれません。そのために、親はどんなことを心掛けるべきなのでしょうか。ハーバード大学を卒業し、東京工業大学でコミュニケーションも教える、お笑いコンビ「パックンマックン」のパトリック・ハーランさんに聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) パックンが伝授! 社会課題を自分ごとにできる子の育て方 ←今回はココ
(2) 「スクールカースト 」 子が自己を肯定して生きるには

親子で話し合う習慣は、「議論力」にもつながる

 ロシアによるウクライナ侵攻や、福島県沖で発生した地震の影響による電力需給逼迫など、2022年に入ってから世の中を揺るがす出来事が次々と起きています。特に、毎日のように大きくニュースで取り上げられているウクライナ情勢について、「世界は平和ではなかったんだね」などと、子どもからさまざまなリアクションがあった家庭も少なくないのではないでしょうか。

 しかし、それらのニュースを「自分には関係がないこと」あるいは「時事問題としてテストに出るから理解しなければいけないもの」などとして捉えてしまうと、他人事となり、表面的な理解に終わってしまいます。わが子には、ただの情報としてインプットするのではなく、自分事として受け止め、「解決のために、自分たちはどうしたらいいのだろうか」と主体的に考えることができる子に育ってほしいと思う親は多いかもしれません。

 それには、普段から、ニュースなどを親子で一緒に見て、それについて子ども自身の考えや意見を引き出すといった、家庭での親子の会話の工夫が欠かせません。しかし、高学年ともなると、親が子どもと話をしたいと思っても、子どもが勉強で忙しかったり、ゲームや動画などに夢中になったりしていて、親子で話す時間が取りにくい、という家庭は少なくありません。また、親のほうも「子どもから何か聞かれても、正確に答えられない」といった自信のなさから、社会課題について話し合うことをちゅうちょしてしまうケースもあるでしょう。

 それに対して、「親が全部知っている必要はありません。ヒントを与えるなどして上手に質問しながら、子ども自身の意見や考えを上手に引き出していけばいいと思います」と言うのは、ハーバード大卒で、お笑いコンビ・パックンマックンの「パックン」こと、パトリック・ハーランさんです。

 米国の家庭ではさまざまなトピックに関して親子の会話が行き交う傾向にあり、15歳の息子と13歳の娘を育てるパトリックさんの家庭でも、親子でさまざまな事柄について話し合うことが日常茶飯事だと言います。

 一般に、思春期の子どもは、なかなか親との会話に応じようとしない場合も多く、頭を悩ます親もいるでしょう。しかし、パトリックさんの家庭では、無理なく親子の会話の時間を設けたり、会話が親からの一方通行にならず、子ども自身が主体的に参加し、自分の意見を出すようになるための独自の工夫もあったりするようです。そんなパトリックさんに、高学年親が心掛けたい2つのアドバイスについて聞きました。