教師が生徒の言動をコントロールできなくなり、学級が集団教育の場として成立しなくなる「学級崩壊」。新学期を迎えて子どもを取り巻く環境が変わる時期、「同じクラスに問題を起こしそうな子はいない?」「先生はきちんと指導してくれそう?」と、不安を抱くママやパパがいるかもしれません。

学校で起こった出来事を何でも話してくれていた低学年時代と違って、高学年になると親に口を閉ざすことが多くなり、学級崩壊の兆候を察知しにくいのも悩みどころです。さらに昨年からのコロナ下で、親が参加できる行事が減った学校が多く、学校での子どもたちの様子を察しにくくなったという現状もあります。

わが子のクラスがもし学級崩壊したら、親はどう対処すべきなのか。NPO法人「共育の杜」理事長で藤川塾塾長、藤川伸治さんに聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 学級崩壊の可能性を察知したら、親はどうすれば? ←今回はココ
(2) 「親友」が重荷だというわが子に、どうアドバイス?
(3) 親友がつくれない、様子がおかしい 親の対応の正解は

学級崩壊の背景には、教師の権威失墜がある

 学級崩壊の実態調査を行っている国立教育政策研究所は、学級崩壊の定義として「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」としています。

 学級崩壊が社会問題化したのは、1990年代の終わりごろ。メディアで学級崩壊という言葉が使われるようになり、全国各地で起こっていた問題が顕在化したといいます。「授業中に立ち歩く、大騒ぎをする、教師の指導を無視する、著しく反発したりするなどの学級崩壊が進んだのは、それまで絶対的だった教師の存在が1980年ごろから揺らぎはじめ、長い期間をかけて、少しずつ権威が失墜していったからです」と藤川さんは指摘します。

 「親御さんも、自分の子どもの頃を思い返してみてください。クラスの中に一人や二人は、先生の指示に従わずにおしゃべりをしている子や、あからさまに反抗的な態度を取る子がいたのではないでしょうか。そういう子は、昔なら教師が一喝するだけでよかったのですが、教師の立場が軽んじられるようになったことで叱っても収まらなくなったのです。学級崩壊というと教師の対応を糾弾しがちですが、教師に従わないことを罪悪視しない子どもが増えた事実を知っておいてもらえると、問題に対してより冷静に対処できると思います」

 では、学級崩壊の可能性を察知したとき、親はどう対処すればよいのでしょうか。藤川さんが挙げるポイントは4つ。次ページから具体的にお伝えしていきます。